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親日・国際家庭インタビュー 〔13〕

鈴木英師さん/ナカルミ・ウルミラさん

大病を乗り越えて出産

結婚にも影響する身分制度

日尼婆羅国旗

——ネパールの結婚事情は?

英師 妻はネワール族の女性です。ネワール族は独自の職業カーストによる身分制度があり、姓によりカーストが分かる仕組みになっています。126のカーストがあるそうです。妻の姓の「ナカルミ」の「ナ」は「鉄」の意味で、「カルミ」は「作る」という意味のようです。生まれながら職業が決まっているということですが、最近は事情も変わってきているようです。結婚は同じカーストで、親の紹介で親の決めた人と結婚するのが一般的です。ですから外国人との結婚は基本的にはあり得ないという感じなのですが、私は妻のお母さんや家族、周囲のかたがたにとても気に入っていただきました。そのことが妻もとてもうれしかったようです。現地に住んでいる日本人女性の方によると、ネパール人男性と日本人女性のカップルは比較的多いけれども、日本人男性とネパール人女性のカップルはとても珍しいケースだそうです。

——ウルミラさんは結婚についてどのようにお考えでしたか?

ウルミラ 結婚したのは31歳の時ですが、英師さんと出会うまでは結婚そのものについてあまり考えていませんでした。私の父は私が16歳の時に亡くなりましたが、お酒を飲むと怖い存在でした。その影響もあって、あまり結婚したいと思っていなかったのです。ところが、このように結婚もし、子供にも恵まれたことに対して、家族や周囲の人たちは「ウルミラは変わったね」と言っています。

——日本での生活はいかがですか?

ウルミラ 2009年8月に初来日しました。妹はネパールの大学で日本語を勉強し、日本で仕事をしていたこともあります。長年、日本に住んでいる親戚も何人かいます。私は今、食品加工の工場で働いています。勤めて2年ぐらいです。いつも仕事で忙しそうだなというのが日本人に対する印象ですね。日本で生活するようになって好きになった食べ物は焼き鮭です。生ものは苦手でお寿司は食べられませんが、ラーメンやてんぷらは食べられるようになりました。日本は、パンやクッキー、お菓子類がとても美味しいですね。

——英師さん、ウルミラさんについてお聞かせください

英師 ネパール人は夫婦でよく話をします。夫を大切にし、夫を立てますね。夫や家族によく尽くします。気配りが本当にすごい。夫をよく見ていて、健康状態や、何を食べたとか、いつも気に掛けてくれています。他人からいつ何をもらったかなどもちゃんと覚えています。特に妻は記憶力がいいんですよ。子供のことも関心をもってよく見て、よく気が付きます。とにかく家族への関心が強いんです。妻は毎日、ネパールのお母さんや家族とスカイプを使って電話しています。ネパール人の一番良いところを挙げるなら、コミュニケーション力でしょうね。何でも人と話をして情報を得ています。とりわけ家族間のコミュニケーションは素晴らしい。知らない人に対しても親切ですし、誰とでも仲良くします。大人は自分の子、他人の子の区別なく、可愛いい子供たちを愛します。子供は皆で育てるのです。妻は日本に来て、私の家族や親族関係の希薄さを見て驚いていました。

双方の良い文化を伝え合いたい

——今までの生活で大変だったことは?

英師 妻はもともと健康な人なのですが、日本で大きな病気をしました。最初の子を妊娠している時に尿管結石になってしまったのです。その後1カ月もしないうちに咳が止まらなくなり、切迫早産の危険性があって、救急車で搬送されて入院しました。診察の結果、結核だということが分かりました。3カ月入院して切迫早産にならないように安静にしていたのですが、子宮の羊水に結核菌が見つかり、胎児への感染を避けるために、27週目7カ月弱でしたが帝王切開で出産。わずか1028グラムで、3カ月間保育器で過ごしました。誕生後最初の検査で結核菌が見つからず、無事に退院しました。ネパールと日本のたくさんの方に心配していただき、祈っていただきました。今は順調に育ち、平均並みに成長しています。

——日本とネパールの懸け橋としてやってみたいことは?

ウルミラ 日本の化粧品や家電商品は安くて良いものがたくさんあります。パンやクッキーもとても美味しいですね。こういったものをネパールの人たちに使ってもらいたいし、食べてもらいたいですね。

英師 最近は日本在住のネパール人がとても増えています。今後、日本とネパールの交流が盛んになるでしょうし、国家的にも重要な関係になっていくと思います。私は将来ネパールに住みたいという夢も持っているのですが、文化の壁というか、私自身はネパールでの生活では食べ物がなかなか合わなくて、整腸剤を手放せない状況です。言葉の問題もあります。でも、ネパールを知った者として、素晴らしい家族の在り方などネパールの良い文化を紹介したいという思いは強く持っています。エベレスト山などヒマラヤは有名ですが、カトマンズの宗教的な世界遺産なども日本人に知ってもらいたい。また、日本の良いものをネパールに伝え、将来、何らかの形でネパールの発展に貢献できればと考えています。