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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

身近な生き物たちの厳しくなった生態環境についても考えたいGW

ツバメ

「つばめのおとずれは季節の風物詩だった。そして長くつめたい冬のあとに来る春が、野山にいっぱい花を咲かせながらまだどこかに油断のならない寒さをひきずっていたのとは違い、つばめのおとずれは、少しの曖昧さもなく夏の到来を告げる出来事でもあった」(藤沢周平『玄鳥』表題作=文春文庫)。

つばめは二十四節気の清明(今年は4月4日)の初候が「玄鳥(つばめ)至(きた)る」とあり、俳句では春の季語である。南方で冬を過ごし、春になると海を越え数千キロを旅して日本にやってくる。泥で固めた巣を人家の軒先などに作り、これから田畑に発生する害虫を片っ端から食べてくれ、雛を生み育てる。人の近くに巣作りするのは、天敵のカラスや蛇が人を恐れて近づかないために雛が守られるから。つばめはそうして人間と共存共栄する益鳥である。

東京に住んでいると、つばめもなかなか目にすることが珍しくなったが、地方でも前ほどいつでも見かけるようにはいかなくなったという。巣作りにいい軒のある家や広い土間の上に太い梁(はり)のある家が少なくなったこともあろう。

そういえば年中、いつでもどこにでも見かけた雀も研究者によれば、この20年ほどの間に半減したという。童謡「めだかの学校」で親しまれた川の中のメダカは、今や絶滅危惧種。そもそも、そーっとのぞいて見られるような小川じたいが少なくなったのである。他にもドジョウやフナ、ホタル、ミツバチなど激減して縁遠くなっている身近な生き物たちも少なくない。

5月は年配者には馴染み深い文部省唱歌「茶摘み」の一節に「野にも山にも若葉が茂る」とあるように新緑が美しく、頬をなでる初夏の爽やかな風が心地よい季節。みどりの日の4日は、祝日法(第二条)に「自然にしたしむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」日である。この日をはさむ折からのゴールデンウィークを野に山に海に出かけ、自然の空気を吸いその中に分け入って野外活動やハイキングを楽しむのもいい。

と同時に、子供たちには前述した身近な生き物を見てもらいたい。大人たちには生き物たちの厳しくなった生態環境について考え、親子で話し合ってもらいたいと思う。

〈大和路の宮もわら屋もつばめかな〉 与謝蕪村