機関誌画像

春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

山の幸と恵みに感謝する「山の日」が8月初の祝日として今年からスタート

「海」の3人に、「山」も3人で対峙している。大相撲夏場所番付表にあった幕内力士のしこ名である。御嶽海、隠岐の海、佐田の海に対して、松鳳山、碧山、栃煌山と並ぶ。これに日本一の山にちなむ横綱日馬富士、大関照ノ富士に、宝富士、佐田の富士の豪華な4「富士」を加えると、形勢が一気に決する。

過去のしこ名をみても「山」のほうが優勢のようだ。

それなのに、海の日(先月号参照)があって山の日がないのは? というわけで、今年から山の日がスタートする。祝日法に「山に親しむとともにその恩恵に感謝する」と定められ、今月11日がその第1回である。

日本は、国土がそんなに大きくない上に広い平野も少ないが、列島の背骨である山脈が縦横無尽に走り、山また山の国である。その数は2万5千分の1の地図にあるだけで計17000弱(『日本山名総覧』武内正著、白山書房)を数える。1県につき360弱もある計算となる。

それだけに、日本人は古くから海とともに厳しい自然環境の山にも親しんできた。狩猟や炭焼き、山菜とりなどの生活があり、白山や比叡山、高野山などに本山がある伝統宗教、山を聖地とした山岳信仰や修験道などもある。近年は登山やスキーにハイキング、キャンプに高山植物めぐり、森林浴などスポーツやレジャー、健康や趣味などを楽しむ場としても、山と人の密接なつながりは続いている。

そんな山の幸、恵みに感謝する「山の日」を作ろうと、日本山岳会などを中心に運動が盛り上がり、当時の衛藤征士郎・前衆院副議長を会長、谷垣禎一法相を顧問に超党派の約120人からなる議員連盟が発足したのが平成25年4月。1年後の一昨年5月下旬に祝日のなかった8月初の祝日として、11日を「山の日」とする祝日法案(今年から施行)が国会で成立したのである。

さて、今年も山の日に先駆けて先月1日に、山開きを迎えた。約100人の登山者が富士山頂でご来光を仰いで万歳する写真が、新聞紙面を飾り、夏山シーズンの到来を告げた。夏休みの登山は爽快で、改めて山の良さを見直す人も多かろうが、くれぐれも無理・無茶は禁物。遭難にはしっかり注意を払いながら楽しんでもらいたい。

〈三千の松明が消え山開(やまびらき)〉 長谷川水青