機関誌画像

お日さまニコニコ毎日前進![18]

エッセイスト 櫻井 ひろみ

「結婚の幸せ」に見る男と女、今昔

メディアに女性国家元首の顔が登場することが随分多くなりました。そしていよいよ米国の顔も女性になる可能性が出てきました。G7の顔ぶれに女性が増えたら世界に何か変化が訪れるでしょうか…。女性目線、女性感覚が世界に平和を届けてくれるなら大いに歓迎です。

一方、太平洋に浮かぶ離れ小島の日本は、この趨勢からは随分遅れているようです。男女平等度ランキング2014(スイスの研究機関「世界経済フォーラム」発表)によると、日本の総合順位は142か国中104位でした。項目別でも、部長などの女性管理職の割合は112位、女性の国会議員の割合は126位と、随分下位にありました。

安倍晋三首相は「女性の活躍推進」を掲げて、国会議員や知事など、あらゆる指導的立場の女性の割合を2020年には30%に引き上げる目標を掲げているようですが、なかなかそう簡単に進みそうもありません。

冒頭からお堅い話になってしまいましたね…。参議院選挙を終えて与党大勝の結果を聴いてから、女性目線からも何か変化を期待する気持ちが強かったので、そのせいかもしれません。

なんといっても85年に男女雇用機会均等法が成立して30年、時代の変化を大きく期待したものの、相変わらず女性の苦悩は続いています。たしかに女性の社会進出も増えましたし、90年代後半には女性の大学進学率もあがって、男性と同じように働く女性の総合職の割合も増えてきました(一面、男性と競い合って頑張りすぎたキャリア女性たちも社会現象になりましたが、そのことはまた後日に)。

経済構造も変化し、男性一人の収入だけでは家族全員を養いにくくなったことも、女性を社会に押し出した一因かもしれません。パソコンや通信機器の発達によって男女差なく取り組める職業が増えたことも、後押しになったかと思います。もちろん「夫が外で働き、妻は家庭を支える」的な考え方がまだまだ強くあることが、女性を生きづらくしている側面もありますが、時代の空気は少しずつ変化しています。

女性だけではありません。今の時代は男性も本当にお気のどくです。日本の15〜64歳の男性の1日あたりの平均労働時間は、世界の標準と比べてダントツです。(グラフ参照)「家族団らん」の時間もつくれないお父さんたちも多く、子供たちから見たら、「大人になるってめんど〜い!」ことと映っています。

リクルート進学総研が2014年、全国の高校生に「将来結婚したいと思うか」を尋ねたところ、「したいと思う」と答えたのは75.3%でしたが、「将来、結婚できると思うか」について聞くと、「できると思う」と答えたのは、半分以下のわずか33.2%でした。

今や生涯未婚率も急上昇、50歳になっても4人に1人の男性は未婚、若者たちからみても周りに結婚できない(しない?)大人たちがゴロゴロいるのです。未来の自分に照らしたら、まず不安になるのが普通でしょう。

「結婚生活について不安に感じること」を尋ねると(「少子化社会に関する国際意識調査」内閣府より)、日本は「結婚生活にかかるお金」が37.3%でトップ、フランス(23.5%)やスウェーデン(9.3%)を大きく上回りました。お金、お金、お金…。夫の稼ぎだけでは家族を養えないことは、今の若者たちの常識です。だからこそ、日本の男性たちは結婚相手にも収入を期待し、結婚後の共働きを期待します。男女平等の視点というよりは、生きる為に共働きを選択せざるを得ないのです。

現在の男性事情を探ると、親に生活費の一部または全部を依存している男性が35%おり、親と同居している男性だけだと51%にも上ります。さらに、親と同居している男性の32%、女性の46%が年収200万円未満でした。(公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団より)

「結婚したい」気持ちを阻む壁がたくさんあります。「婚活」もにぎわっていますが、お目に適うお相手は、簡単には見つからないご時世です。

『東京タラレバ娘』(東村アキコ著)が書店に並んでいます。独身アラサー娘の3人が、仕事と恋に悩むお話です。もっと、絶対いい人に出会うはずと思っているうちに、30歳を過ぎた未婚女性が「あの時、こうしていたら…」「結婚していれば…」とつぶやく恋物語(?)です。連載がスタートしてから、アラサー女性を中心に「あるある!」と共感が広がる一方で、「痛い、痛すぎる!」と悲鳴も多く聞こえてくるリアルな漫画です。

注目すべきは、彼女たちはそれぞれが自立した職業に就いており、スペックもあり、そこそこの成功や安定を収めているところです。結婚はいつでもできると思っていたのに、思い通りにならず後悔している30〜40代を見て、今の若者たちは「結婚は甘くないぞ」と足踏みをし始めているのです。

「結婚の幸せはお金だけじゃないぞ!」と、声高く諭す先輩登場を彼らは待っているのかもしれません。「結婚の幸せ」は貧しいなりにも、男と女が努力してつくり上げるもの、「棚ボタの幸せはいつか幻になるんじゃ!」とTVモニターのむこうからおばあちゃんのセリフ。なかなか痛い…。


15〜64歳の男性の1日あたりの平均労働時間 (OECD 2014年 資料より)
労働時間グラフ