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親日・国際家庭インタビュー 〔18〕

中村学/朴珉子(パクミンジャ)さん

子供が増える度に増す夫婦の一体感

日韓国旗

——結婚歴は?

珉子 今年で15年目になります。子供は、上は中学生から下は2歳まで6人います。

——結婚に関して韓国と日本の違いは?

珉子 一番思ったのは、韓国では、妊娠してつわりがひどい時など、夫が何でも妻の身の回りの世話をするのが普通です。食べたいものがあれば何でも用意してくれます。日本ではそうした習慣が必ずしも一般的ではないですね。

 妻に「なぜ日本では夫のことを『主人』と呼ぶのか」と聞かれたことがあります。こうした言葉にみられるように、日本では妻は陰で夫を支える存在だという伝統的な考えがありますよね。韓国ではそうした夫婦のイメージはないようです。もちろん妻は夫のことを支えてくれるのですが、夫はいわゆる「ご主人様」ではないし、一方的に妻が尽くすような関係ではないのです。それより、夫が妻を、より主体的に愛して家庭が築かれていくという感じです。

——どんな夫婦関係なのですか。

珉子 私は出会った時から、夫のことは大好きなのですが、私たちは性格がまったく違うんです。夫は理系の頭脳で、とても論理的でいつも冷静なタイプ。私は芸術を学んでいて、個性が強いタイプです。結婚して10年ぐらい経ってから、性格が違っていて良かったなと思えるようになりました。私は感覚的にいろいろ行動してしまうのですが、夫がそれを合理的にカバーしてくれるのです。

PTA会長として学校と関わり

——6人の子育ては?

 バラエティに富んでいるというか、不思議と6人が皆違った性格です。面白い面もありますが、正直、大変です。子供たちにもそれぞれ悩みがあったり、淋しかったりするわけですが、同時にいろいろあると、それを受けとめてあげるのは簡単ではないですね。

珉子 実は私も6人兄妹の中で育ったので、兄妹がたくさんいるのは良いことだと思っています。しかし、私にとって子供は1対6ですが、子供にとって母親は1対1です。子供は私から100%の愛を受けたいわけです。一人ひとりにどれだけ真摯に向き合えるか、一人また一人と子供が増えていく度に、自分の器を広げていく戦いでもありました。子供たちの悩みに直面した時、自分にもっと度量があれば、子供たちに別の良い対応ができたのにと思うことがいっぱいあります。でも、そうして自分の器を大きくさせてもらった気がします。

——学校への対応も大変ですね。

 私は今、小学校のPTAの会長をしています。煩雑なことがたくさんあるのですが、多くは奥様方がやってくれて、私は「挨拶」とか、「OK」を出したりするのが主な仕事です。PTAに関わると、学校のことがよく分かるようになりますね。

——学校教育について何か思うことは?

 子供は一人ひとり素養が違います。特に国際家庭のためか、私の子供たちは個性が強い面があって、何かと目立つようなんです。見方によってはわがままにも映ります。しかし、それをちゃんと理解してくれる先生もいて、個性を否定せず、良い面を伸ばそうと指導してくれます。すると子供たちの成長が全然違ってきます。一方、「それは日本のルールにそぐわない」という感じで、押さえ込みたがる先生もいます。すると子供たちが悩むわけです。先生の考え方はいろいろなので、学校に関心を持つことは大事です。また、会長をしていると、校長先生と関わることが多いんですよ。親受けはいいけれど学校の運営が上手ではない校長先生や、親には愛想が悪くても、子供への指導力は抜群の先生もいて、学校全体の雰囲気は校長先生の力量次第でだいぶ違ってきますね。

独身時代にはない「人生の濃さ」

——お互いの素晴らしいと思う点は?

珉子 夫は子供たちにとって、「自慢のパパ」なんですよ。私も尊敬しています。自分の信念や決めたことにブレることなく、物事を進めていく行動力があります。

 妻には韓国人ならではの「情」の深さがあります。私は子供たちの勉強をみたりすることはできますが、情緒豊かな成長には妻の力が欠かせません。怒る時も褒める時も、うれしい時も、悲しい時も全力で子供たちに接しています。「そんなに感情的に怒らなくても…」と思うこともあるのですが、それは奥深い情の裏返しなのです。

珉子 子供が増える度に夫婦の協力関係というか、一体感が増したように思います。3〜4人までなら私一人でもなんとかこなしてきたのですが、5人、6人となると、もう夫の積極的な協力が不可欠です。実際、子育てに熱心に関わってくれている夫にはとても感謝しています。

——未婚の若者にアドバイスを。

 独身時代も自分なりに頑張ってきたと思うのですが、家庭をもち、子供ができてくると、人生が一段と濃くなってきたように思います。苦労も多いですが充実感が違います。最初の頃はよく口喧嘩をすることがありましたが、今思うと喧嘩ではなく、お互いをよく理解するための必要なコミュニケーションだったし、今でも二人でトコトン話し合っています。最近は何事も夫婦二人でないと、淋しいという感情を持つようになりました。例えば子供の運動会に妻が都合が悪くて自分だけ出たことがあるのですが、もう全くつまらない。特に子供に関することは夫婦二人で関わるのが、本当に自然なことだなと思います。