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親日・国際家庭インタビュー 〔20〕

李鍾仁(イジョンイン)さん

日本での韓国語教育に尽力

興味を持ってこそ身に付く語学

日韓国旗

——ご家族についてご紹介ください

私の故郷は韓国の京畿道で、1988年に日本人の夫と出会い、結婚しました。93年に来日し、それ以来、日本で生活しています。家族は私たち夫婦と娘4人、そして義母です。

日本社会での子供たちの教育を考えると、祖母の存在は大きいですね。日本人の義母がいてくれることで、外国人である私はとても助かっています。

韓国でも子供たちの教育を受けさせたかったので、夫とも話し合い、長女と四女は中学から韓国に留学させました。次女と三女は日本で教育を受けました。三女は専門学校を卒業して、来年は韓国に語学留学する予定です。

言葉は強制ではなく、自分から興味を持ってこそ身に付くものですね。次女と三女は韓国語にあまり関心がありませんでした。ところが次女は、韓国のバレーボール選手の金軟景(キムヨンギョン)のファンになってからは、ファンレターが書きたいと、独学で熱心に勉強し始めました。今は私の話す韓国語はほぼ分かります。三女も日本語しかできませんでしたが、ある日学校で自分のお母さんが韓国人だということが知られると、周りが韓国のことについていろいろと聞いてきたそうなんですね。ところが自分が何も韓国について知らなかった。その時から韓国に関心を持って韓国の文化や料理などを勉強するようになったのです。私にも韓国語を教えてほしいと言ってきて、自分から積極的に学ぶようになりました。

——韓国の親戚との交流は?

夏休みは子供たちを連れて必ず韓国の実家に帰っています。帰省を通して子供たちに対する韓国の教育が間接的になされていたと思います。韓国での生活を体験し、親戚と交流しながら、韓国の心情的な世界を味わってくれていたと思います。直接皮膚で感じる世界が大事ですからね。

——日本で感じる日韓の違いは?

違うと感じるのは、歴史観ですね。夫と話しても、日本の友人と話しても結論は出ないのですが、歴史に対する認識は違うといつも感じます。ですから、夫との間でも歴史観の違いは封印しようと言っています。解決策があれば具体的に行動を起こしたいのですが、個人では難しいですね。国と国の交流を深め、草の根の交流がたくさんなされることが大事だと思っています。

——日本人の良いところは?

控えめで謙虚なところ。街がきれい。清潔で社会に秩序があるところですね。東日本大震災の時に見せた日本人の素晴らしさは真似ができないなと思うこともあります。

もう一つは、天皇陛下の存在。やはり天皇陛下は日本の中心だと思うんです。災害があれば被災地を必ずと言っていいほど訪問されますね。一人一人を慰労し、親しく声を掛ける姿にはすごく感動します。市民たちがとても慰められていると感じます。

偏見を持たず広い心で世界をみる

——子供たちに期待することは?

グローバル時代を生きるうえで、考え方が偏ってはいけないと思います。偏見や先入観を持たず、自分のことだけでなく、心を広く持って世界を見られるような経験をさせてあげたいですね。国際結婚の一番いいところは、両方を見ることができるということです。両者のいいところを学び、それをもって世界のために広げられるようになったらいいと思います。

韓国の実家の姪っ子とか甥っ子も、日本人に対して最初は拒否感や、ネガティブなイメージを持っていたのですが、親戚になるとそういうものがなくなっていきます。時間はかかるかもしれませんが、それが平和への近道でもあると感じています。

——李さんは一般社団法人訓民正音グローバル協会の事務局長をしておられますね?

訓民正音グローバル協会は韓国語の普及のために設立されました。韓流ブームの影響もありましたが、日本と韓国が文化を通して一つになってほしい、もっと仲良くなってほしいというのが設立の動機です。日本社会には、私のように国際結婚をしている人もいっぱいいますし、留学生もいっぱいいます。一人ひとりが集まったら、もっと大きな力が発揮でき、大きな活動につながると考え、2011年に設立しました。現在、全国で300人近い韓国語講師が所属しています。その講師たちが抱えている生徒の数は6000人以上です。

——「訓民正音」とは? 具体的な活動は?

訓民正音は韓国語、ハングルのオリジナルの言葉です。日本人に韓国語を紹介し、学習を指導するのが主な活動ですが、学校で韓国文化や韓国料理の授業や体験教室も行っています。マルハギ(スピーチ)大会や訓民正音検定試験も行っています。検定試験の受験者も12年288人、13年347人、14年は890人、15年は3243人と年々増えています。私自身は事務局で講師たちを管理し、サポートする仕事をしています。講師の研修や講師養成セミナーの開催、講師たちの交流の場も企画しています。

大きな行事としては韓国の国会議事堂での表彰式が12年と14年に行われました。外国で韓国語、韓国文化の普及に貢献したということが評価され、国会議員の招請で表彰式が行われたのです。ソウルの世宗文化会館で行われたハングルの日(韓国では10月9日)の記念行事にも長官の名前で招待を受けて参加しました。ありがたいことです。