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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

列島を襲った気象・自然災害に泣かされたが、リオ五輪の大健闘などに沸く明るい年のイメージも

〈父祖の地に闇にしづまる大晦日〉 飯田蛇笏

月日の経つのは早いもので、今年もはや師走を迎えた。厳粛かつ静かに1日を過ごしたい1年の最後を締めくくる大晦日(おおみそか)もそこまで来ている。すぐ後には清々しく明るい気持ちにリセットしたい新年が控えている。

今年は列島を襲った気象・自然災害に泣かされた1年であった。4月14日に熊本・益城町で震度7を観測したマグニチュード(M)6.3の地震が「前震」で、翌々16日に襲った震度7(M7.3)が本震だったという前例のない連続激震により熊本は、直接の死者だけで50人もの犠牲を被ったのである。

台風も各地で大暴れし被害が相次いだ。なかでも10号(8月30日)による大雨で岩手・岩泉町では、河川が氾濫し高齢者ホームの9人が亡くなったほか、北海道でも甚大な浸水被害となった。10月8日に36年ぶりに爆発的噴火を起こした阿蘇山中岳や桜島など相次いだ火山噴火なども、不安をかき立てた。

おそらく阪神大震災や東日本大震災ともっと大きな試練に立たされ、今もその復興途上にある経験などで鍛えられなければ、今年はもっと禍々(まがまが)しい思いにうち沈んだかもしれないが、そうはならなかった。それと、列島の8月を沸かせたリオ五輪・パラリンピックの「金」6位(12個)など日本人選手の大健闘とマーリンズ・イチロー選手の大リーグ3000本安打超え。東工大の大隅良典(おおすみよしのり)栄誉教授のノーベル生理学・医学賞受賞、理化学研が合成に成功した原子番号113番新元素の「ニホニウム」(Nh)命名発表(6月)、東京−新函館を最速4時間2分で結ぶ北海道新幹線の開業(3月)などが今年を明るいイメージに転換させたと言えるかもしれない。

大晦日の夜、比叡山延暦寺では伝統行事の鬼追い式が行われる。根本中堂と、かがり火が照らす前庭の舞台では、錫杖(しゃくじょう)を持った修行僧が黄色、赤、緑の面をつけた三鬼を退治していく。黄色面は〈むさぼり〉、赤は〈怒り〉、緑は〈ねたみ〉の三毒を表すという。そして、修行僧は最後に悪の根となった最強の鬼が出て来ると、改心した三鬼に「行け」と命じて立ち向かわせるのである。平安時代からというこの儀式は、晴れて新年を迎える前に過ぎし1年の清算を諭しているのだという。明けて新年、良きお年を。

みかぐらを神にささげてゆたかなる年のをはりをいはひけるかな 明治天皇御製