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特別メッセージ

APTF常任顧問 徳野 英治

2016年12月18日、岡山市での講演の抜粋を今月と来月の2回に分けて掲載します。

人生の意義と価値(前編)

幸福の根源は何か

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人生で何が一番大切なのか、人間にとって何が幸福の源なのか、この問題が年齢や職業や男女を問わず、一番普遍的で本質的な問題であると思います。

昨年1年間を象徴する漢字が発表されました。清水寺の森貫主が書かれた一文字は「金」であります。皆さんにおたずねします。3000名集まっておられれば、人生に対する考え方や価値観は千差万別でしょう。人生で一番大切なものは、果たしてお金でしょうか。確かに、お金がなければ最低限の経済生活も保障されません。お金が私たちの経済生活を支えています。また、ある程度の経済生活が保障されなければ、幸せとは感じません。橋の下や公園で暮らす、ホームレスの生活がとても幸せとは言いがたいのではないでしょうか。したがって、現実生活においてはお金は確かに必要です。しかし、お金が果たして人生で一番大切かと聞かれると誰もがノーと言わざるを得ません。

では、2番目に、名誉、地位、出世することが果たして人生で一番大切でしょうか。一つの例として、私も以前はお隣の韓国の朴大統領に一目も二目も置いておりました。でも大統領という最高の地位ある立場に立っても、今の朴大統領が幸せとは到底考えられません。幸せというものは、地位や立場によって担保されるものではなく、いくら出世しても大統領まで上り詰めても、その地位や立場に必ずや幸福が担保されるという、即ちそれが人生で一番大切なもの、最も幸せの根拠であるとはどう考えても言いがたいのです。

3番目、多くの人は健康が一番大切だと言います。私も同感です。病気の状態が幸せとは到底言いがたいのです。しかし、一方で過去16年間の日本の自殺率について考えてみて下さい。1998年から2011年まで、なんと1年間で3万人が自殺していて、今は少し数が減りましたけれども、それでも2万4千人です。1年間に交通事故で亡くなる人が4千人ですから、その6倍です。しかも、それまで自殺者の年齢層の主流は、60代50代40代がほとんどでありました。2003年以降は、なんと悲しいことに年齢層の主流は30代20代10代と下がってきています。日本の未来を担わなければならない、有望な青年が10 代にして20代にして、あえて自らの生命を絶ちます。豊かになったかもしれない日本でも、自殺者が年2万4千人という数は、精神的に何かが病んでいると考えざるを得ないのであります。

しかも、自殺者のほとんどは健康な人で、健常者です。体が健康でも心が病んでいるのです。それを考えてみた時に、やはり健康即イコール幸福ではありません。また、私も、60歳を超えておりますが、できる限り長生きをしたいと思っています。可能ならば最低80歳まで、さらに欲を言えば100歳まで。でも、 80歳を超えて周りの子供たちや孫たちから、「うちの徳野のおじいちゃんはいつまで生きるのかね、いやに元気だね、そろそろ逝ってもいいんじゃない」。こう陰でささやかれながらも長生きはしたくありません。長生きすること自体が人生で一番大切だ、人生で一番幸せだとも私はとても言いがたいのです。こう考えてみますと、健康、長寿、即イコール幸福のバロメーターではありません。また、健康が人生で最も大切な究極であるとも言いがたいのです。

人生で一番大切なのは「愛情」

4番目、誰もが女性であれば美人でありたいのです。男性から君は美しいね、何歳になっても美しいねと言われたいのです。また、男性であればハンサムですね、男前ですねと言われたいのです。でも、美人であることイコール幸福でしょうか、ハンサム、イコール幸福でしょうか。私は、必ずしもそうとは思いません。芸能人や女優で美人の方が多くいます。私もテレビを見ながら、正直きれいだなあと思います。でも、やっぱり私の妻がもっときれいです。

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そのきれいな女優を見ながら、ハンサムな男性を見ながらも、まだ結婚していない女優や俳優を見る度毎に文先生の言葉を思い出します。どんなべっぴんさんの女性でも、一人の男性と出会わなければ、その美は意味を持たない、実を結びません。どんなハンサムな色男でも一人の女性と幸せな家庭にゴールインしなければ、その男前は意味をなさない、最終目的をなさないというのです。

したがって、結論を申し上げますと、人生で一番大切なもの、幸せのバロメーターと言えるものとは、お金でもない、名誉、地位でもない、そして健康、長生きでもない、ましてや美貌でもない、美人であることや男前であることでもありません。何が人生で一番大切なのか、それは、やはり愛情である!と宣言したいのであります。(拍手)

私が愛する人がいる、私を愛してくれる人がいる、これ以上の幸せはありません。愛情というものがどれほど大切でしょうか。(続く)