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お日さまニコニコ毎日前進![38]

家庭教育アドバイザー 多田聡夫

「家庭力アップ講座」 愛が子供に届く3段階

愛が子供に届くプロセスには、①「個性真理体」の確立②責任分担の自覚③「人の為に生きる」喜びを教える、という3段階があります。前号では①の「個性真理体」の確立について詳しく説明しました。愛が子供に届くようにするためには、第1にあるがままの子供自身を受け止め、愛してあげること、第2に願いに応え、欲求を満たしてあげること、第3に肯定的な言葉をかけること、第4に「甘え」を受け入れること、が重要だと理解していただけたかと思います。今回のテーマに入る前に、参考になる、ある方の体験談を紹介します。

「今年のお盆に親戚と家族が集まりました。その時、高校2年生の甥は別の部屋にいて、私達家族と話をせず、一人ぽつんと携帯電話を抱えて座っていました。彼は髪の毛を赤っぽい色に染め、口と耳にピアスをはめていました。高校生でありながらタバコを吸い、親の言うことも聞かず、小さい頃の無邪気で純粋な面影はありませんでした。

私は彼がいる部屋に行き、そばに座っていると、彼の方から話しかけてきました。彼は英語がとても好きで、もっと上達したいと言いました。私も英語が好きだったので、好きになったきっかけや上達の秘訣などを話してあげると、彼はとても興味を示してきました。それで、お互いに英語で話し合い、彼の発音を認めてあげました。すると、交流がさらに深まり、彼は今の生活、これからの生き方などについても話をしてきました。私がタバコを止めることや、結婚するまでは男女関係をもたないことなどを諭すと、驚いたことに、彼は素直に話を聞き、今の生活を正しい方向に変えていくように努力すると約束したのです。

彼はその後、家族のいる部屋に一緒に行き、談話に加わりました。そして彼は、実は私を尊敬しており、私のように英語を話せるようになりたいと思っていたということを皆の前で話したのです。しかも、彼は早速その日、ピアスを全部外して捨て、髪の毛を元通りに黒く染めました。家族は、彼のあまりの変化に驚くとともに、私が彼に対して及ぼした影響の大きさを目の当たりにしました。息子の教育に手を焼いていた彼の母親は、「聞く」ことの重要性を理解しました。

彼とはその後も英語でメールをやりとりしています。彼から長い髪の毛を短く切った写真も送られてきました。私は自分の観点で裁くような目で見ていましたが、実は彼はとても純粋で、変わりたいと願っていたということが分かり、決して表面的に判断してはいけないことを思い知らされました。そして、少しの時間、話を聞いてあげるだけで、こんなに変わるのかと驚いた次第です」

「責任分担」の自覚

さて、今回のテーマは3段階のプロセスの2番目である「責任分担の自覚」についてです。

子供は、日常生活の中で起きることに自分自身で積極的に対応していくことを通して、責任というものを学んでいくことができます。子供がやるべき仕事は子供に任せるべきです。そして、自分の起こした行動の当然の結果を子供自身で体験することが重要だと思います。

責任分担を学んだ子供は、自分次第で結果が変えられることを知ることができるし、耐性や問題解決能力が育っていきます。また、目をそらすことなく、しっかりと現実を見る勇気が育つようになります。その結果、成長しようという意欲が子供に生まれてくるのです。

親が子供のすべきことを手伝いすぎると、結果として、子供が自分で体験することができなくなります。体験のチャンスを親が奪ってしまうわけですから、厳しい言い方をすると、子供が親の被害者になってしまうということなのです。これでは、下手をすると、いつも「他人のせいにする」子供になってしまいます。子供が責任を果たせなかったことなのに、親を責めてしまうことになるからです。

子供が自分の責任分担を果たさないと、責任の力を使っていないことになります。そして、人生を自分自身で変える力がないと感じてしまいます。自分の人生を変えることに臆病になって、自分に自信が持てなくなるのです。

子供は責任分担を全うすることによって、必要な体験をしていくことができます。そのような体験を積み重ねれば、子供は問題処理能力が身についていくのです。そして、葛藤することが上手になり、具体的に結果を生み出す自信もつくようになります。

責任分担が育つ手順

では、どうしたら子供に責任分担を全うする心が育つのでしょうか。「朝、一人で起きる」ということを例にして考えてみましょう。

①子供と会話をする

 親:「朝、起こさないことに決めたよ。子供の自立のためにね」

 子:「突然、困るよ。起こしてよ」

 親:「そうだよね。困るね。でも、起こさないことに決めたんだ」

②親としてどのようなサポート(起こす以外)ができるか話し合う

③子供を起こさない

④子供が起きることができたら、一人でできたことを認めてあげる。なかなか起きられなければ、他にどのようなサポートができるかを再び話し合う

以上のような手順を根気よく行っていきます。最初は難しくても、諦めずに継続していきましょう。

統一原理で学んできた「責任分担」を生活化できるように理解することは、子供が成長していく上で非常に重要なことなのです。