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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

「災」の1年に、気象異常の大きな要因である地球温暖化への対策待ったなし

平成最後の師走(しわす)である。師走の語源についてはいろいろな謂われを聞く。

よく知られているのは漢字が示す通りに、僧侶が駆ける「師馳(しは)す」。その年の罪障を懺悔(ざんげ)祈願するために僧侶を招き法会(ほうえ)を行うために、僧侶が西に東に馳せ走る師走り月が師走になったという説。師については伊勢神宮などの新年参詣を率い宿泊などの世話をする御師(おんし)をさすという説もある。

他にも諸説があり、どれももっともらしく聞こえてくる。事をなし終える意味の「為(し)果つ」、四季が果てる月の意味で「四極(しはつ)」など。

事をなし終え、四季果つる月を迎えたが、今年はどんな年だったのか。

昨年は技術立国・日本の信用と信頼をゆるがせるトップ企業によるデータ改ざんなど不正の連鎖が続いた。神戸製鋼、日産やスバル自動車、三菱マテリアル、東レなどの企業名はまだ記憶からは消えていないだろう。それが今年も続いた。スバルは今年も、免震データ改ざんでは新たにKYBも。日本の劣化が止まらない。

もう一つは熊本地震や台風など気象・自然災害に襲われた一昨年以上に災害が相次いだこと。6月下旬の大阪北部地震、岡山県倉敷市などを襲った7月の記録的な西日本豪雨、関西空港の滑走路が冠水し空港機能や関連インフラをマヒさせた9月の台風21号の猛烈な風雨、北海道を全道停電(ブラックアウト)させた胆振(いぶり)地方を襲った震度7の大地震、列島を縦断した2つ目の大型台風24号と続く。さらに今夏は熊谷市(埼玉県)で国内で歴代最高気温となる41.1度を記録し、各地では前例のない猛暑続きに呻吟(しんぎん)させられた。まさに禍々(まがまが)しい「災」の1年だったが、日本だけでない。米国でも大型ハリケーンの上陸が相次ぎ、世界各地では熱波の死者が相次ぎ、大規模な森林火災も頻発した。

今や顕在化している気象異常は、その大きな要因が地球温暖化にあることは明白である。10月に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書は現状のままだと早ければ2030年に、世界の平均気温が産業革命前より1.5度高くなると警鐘を鳴らしている。洪水や干ばつ、海面上昇、高波の被害が頻発するというのだが、すでに私たちの周りで顕在化しているのはそうした兆候だ。対策は急務である。


〈行ゆく年や猫うづくまる膝ひざの上〉 夏目漱石。文豪の師走がうらやましいこのごろである。