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福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から (11)

ケアマネジャー 増田佳美

利用者に寄り添うケアマネとして

私は要介護の高齢者が自宅で生活するための支援をする、居宅のケアマネジャー(ケアマネ)をしています。

ケアマネの仕事は、主に利用者の自宅を訪問して本人や家族と面談し、介護事業所、医療関係、民生委員、その他の関わる人達と連携しながら介護計画をたて、書類を作成することです。

最低毎月1回は訪問し、場合によっては月に何度も訪問したり、電話したりすることもあります。一応、営業時間はありますが、電話は24時間繋がり、休日に連絡が入ることもあります。

介護と全く縁のなかった人が、突然介護の問題に直面し、介護保険を利用する場合、最初に戸惑うことはケアマネを探すことかと思います。

ケアマネは元職が医療系の人と福祉系の人がおり、経験や年齢も様々、各々の個性もあります。ケアマネの力量で介護の負担が大きく違ってくるといわれることもありますが、私の知る限りでは、どのケアマネも利用者や家族の役に立ちたいと真摯に取り組んでいます。

最近は介護の情報も増えており、介護保険を利用される方の中には、様々な情報に振り回される方もいるようです。

私は何より本人の意向を尊重します。そして、病状や家族関係、介護力、経済力などの状況を確認しながら、本人が納得できる支援ができるよう、丁寧な対応をするように心がけています。

しかし、どうしても相性の不一致がある場合は、ケアマネの変更を希望することは全く問題ありません。遠慮なく事業所の管理者や役所に行って、ケアマネの変更について相談して下さい。

介護の仕事は優しさがあればできると考えがちですが、実際は簡単ではありません。他人の生活の中に立ち入り、障害や病気や様々な生活の問題を抱えた人やその家族と向き合うことになります。

そこで信頼関係を作り上げ、時にはマイナス的な感情をぶつけられたりしながらも、利用者の願う生活を守るよう支援していく専門的な職種だと考えます。

そのため、福祉関係従事者はバーンアウト(燃え尽き症候群)しやすいようです。精神障害の労災請求件数は他職種に比べても多く、年々増加しています。

介護の仕事は感情労働です。自分の感情をコントロールし、模範的で適切な言葉、表情、態度で応対することを求められる労働です。感情労働による疲労や心の傷は回復しにくく、精神的に不調になることも少なくありません。

私自身も業務をしながら、何度も落ち込み、倒れそうになりますが、ため息をつきながら立ち上がり、また、一歩前進することの繰り返しです。今までに出遭った利用者、家族との会話の中の一言、与えられた善意が、そのような中でも前進し続けるための力になっているようです。

「福祉」とは「しあわせ」を意味する言葉ですが、「しあわせ」は人によっていろいろなとらえ方があります。ただ弱い者を助ける、困っているから援助するということだけでなく、その人にとっての「しあわせ」や「より良い生き方」のために必要だからお手伝いをしたい、それが自分の寄り添い方です。

介護に正解も完璧もありません。これからも燃え尽きずに利用者や家族と一緒に悩み、考え、利用者が笑顔で暮らしていけるよう、支援していきたいと思っています。