チョッとためになる健康のお話(3)local_offer健康
健康アドバイザー 上杉和彦
花粉症の原因「免疫異常」
卒業式、そして入学式のシーズンは桜がよく似合います。今か今かと開花を待ち、満開になると、アッという間に散ってしまう、このはかなさと潔さが魅力ですね。
今年、スギ花粉は過去10年間で最大の飛散量となっています。自転車に乗る時や外を歩く時は、息苦しいためマスクを外していたのですが、花粉が飛び始めてからは、しっかりつけています。私が花粉症になったのは、30年ほど前です。当時は不織布のマスクがなく、ほとんど木綿でした。効果がないばかりか、声が聞こえにくくなるので仕事に支障が出ます。仕方なくマスクを取ると、くしゃみが出、鼻水が出、最後は鼻が詰まって息ができなくなります。本当に困りました。しかし、不織布のマスクが出てからは、もう大丈夫。声も小さくなりませんし、鼻もつまらなくなり快適です。技術の進歩は素晴らしいですね。
私がかかり始めた頃、花粉症は少数派でしたが、今では3人に1人がなる国民病と言われます。どうしてこんなに増えたのでしょうか。私の田舎はスギ林がたくさんあり、囲炉裏で火を焚いていた頃は、枯れたスギの葉はよく燃えるので、焚き付けに使っていました。ですから、小さい頃はスギ花粉に接触していましたが、大丈夫でした。確かに北海道や沖縄には杉が少ないので、今も花粉症はほとんどありません。しかし、花粉症になる人は、田舎より都会の方が多いと言われています。
花粉症の原因は、免疫異常です。私たちの体には、ウイルスや細菌、そして異種タンパクが入ってくると、それを追い出そうと免疫細胞が働きます。免疫細胞が正常に働いていれば、病気になることはないのですが、弱ってくると風邪をひいたり、感染症になります。最たる病気ががんです。逆に、免疫細胞が強くなりすぎると、花粉症、アトピー性皮膚炎、リウマチなどになります。そして、アトピーの方は花粉症の症状も重くなりますし、スギやヒノキだけでなく、ハウスダストやブタクサなどにも反応するようになります。スギやヒノキの花粉が増えたことも事実ですが、それ以上に免疫が過剰に働いていることが問題です。
免疫を正常に働かせる方法を考えてみましょう。私たちの体は自分が食べた食物によってつくられます。自動車はガソリンがなくなったら”ガス欠”になって止まりますが、人間は食物を食べなければ”ガス欠”になるだけでなく、体も痩せていきます。つまり、食物が体の材料となって、常に生まれ変わっているのです。3カ月経てば、ほとんどの細胞は新しい細胞に取って替わるといわれています。ですから、添加物の入っていない味噌や醤油、無農薬野菜、玄米、自然塩、自然糖、良質な油、天然の魚や海藻、つまり精進料理のような食生活を3カ月間続ければ、体質は改善し、自然治癒力、すなわち免疫も正常に働くようになるのです。
先月ご紹介したアメリカのマクガバンレポートの結論です。昔の諺に「腹8分目に医者いらず」という言葉があります。また、最近は「16時間断食」が注目されています。1日の内16時間は断食し、残りの8時間は普段通りに食事をすると、細胞内の古くなったタンパク質やミトコンドリアが分解され、新しいものに生まれ変わります。これを「オートファジー効果」と言います。この続きは次号にて。