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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(4)

チョッとためになる健康のお話(4)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

ストレスで細胞内が入れ替わる

4年ぶりにいつものゴールデンウィークが始まります。2020年2月から得体の知れない感染病が蔓延し、県を越えた移動が出来なくなったため、いつものゴールデンウィークは消滅しました。本来2021年に行われる予定だったWBC第5回大会も延期となり、今年の3月に実施されました。観客のいない東京オリンピックは寂しい限りでしたが、WBCは客席も満員となり、日本選手の活躍もあって大いに盛り上がりました。観衆が集まって、一つ一つのプレーに一喜一憂する姿は、まさにドラマです。ようやくコロナ禍が終わったことを感じました。

先日、岩盤浴に入りました。いろいろな温度の部屋があり、熱いところは高温サウナ並で、すぐ汗が噴き出してきました。ぬるいところはコタツのようで、ほとんど汗は出ません。汗には汗腺から出るものと、皮脂腺から出るものがあります。高くなった体温を冷やすために出るのが汗腺の汗で、すぐに出てきます。皮脂腺の汗は20分ぐらい経たないと出てこないのですが、脂分やわずかですが毒素も出てきます。

「排毒」という意味で「デトックス効果」という言葉が使われるようになりました。特に、農薬や添加物、そして薬も入ってくるのですが、体内から排泄されずに残っている有害物が、病気の原因になります。毒素は早く出すに越したことはありません。主に便や尿と一緒に排泄されますが、毛髪からも排泄されます。そのため、毛髪を調べるとどんな有害物質が残っているかがわかります。がんの方は、ヒ素や水銀が多いと言われています。

何百年も生き続ける盆栽も、気温や水、肥料などを少なくして、適度なストレスを与えないと良い盆栽にならないそうです。先月ご紹介した「16時間断食」も、空腹を感じることによってストレスとなります。そのストレスが細胞内の古くなったタンパク質やミトコンドリアを分解し、新しいものを作る「オートファジー作用」を促進します。特に、一生新陳代謝しない脳や心筋の細胞は、細胞内成分が新しく入れ替わることは、とても重要です。

「空腹は最高のご馳走」と言われるように、お腹が空いていれば、どんな料理でも美味しく感じます。また、胃に食べ物がなければ、血中のブドウ糖は増えないので、すい臓からインスリンが分泌されません。ブドウ糖は細胞にとってエネルギー源ですから、必要不可欠ですが、血中に多くなりすぎると、「糖化」と言って血管の細胞を劣化させてしまいます。そのため、多くなりすぎたブドウ糖は、インスリンが脂肪に変えて劣化を防ぐのです。しかし、いつも分泌されていると、炎症を起こす原因となるため、慢性炎症が発生します。この環境を一番喜ぶのががん細胞で、増殖を促進します。

細胞は何回か細胞分裂を繰り返すと、「アポドーシス」と言って自動的に死にます。そして新しい細胞が生まれます。アポドーシスをキチンと働かせるのがミトコンドリアの役目です。ミトコンドリアは一つの細胞の中に100個から3000個ぐらい存在し、細胞にエネルギーを供給しています。実は、このミトコンドリアががん細胞誕生の鍵を握っているのです。続きは次号にて。