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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(7)

チョッとためになる健康のお話(7)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

がんと共に人生を全うする

暑い夏、高校野球のシーズンがやってきました。カンカン照りの中、真っ黒に日焼けした球児たちが白球を追って、負けたら終わりという一発勝負のドラマを見せてくれます。猛暑の中闘っているわけですから、如何に体力を消耗しないようにするかは、とても大きな問題です。最近、新聞に高校球児たちが日焼けを防ぐため、化粧品メーカーの女性指導員を呼んで、UVカットの化粧品の使い方を指導してもらったという記事が載っていました。男性でも眉毛を整えたり、化粧をする時代ですから、その流れかと思ったらそうではなく、日焼けをするとプレーに影響が出るというのです。

その理由の一つは、皮膚表面の温度が高くなると、それを防ぐために発汗し、気化熱を利用して温度を下げようとします。そうすると、体内の水分が低下して、血液が濃くなり、酸素の供給と二酸化炭素の回収がスムーズにいかなくなって疲労がたまります。こまめな水分補給が大事になります。

もう一つの理由は、紫外線を浴びると体内に活性酸素が発生します。活性酸素は「諸刃の剣」で、外敵が入ってきた時には、攻撃する武器になるのですが、増えすぎると自分の細胞も攻撃するようになります。そこで、大量に発生した活性酸素を中和する抗酸化物質が使われます。ビタミンA、C、Eなどですが、特にビタミンCが多く使われます。元々ビタミンCは疲労回復や免疫力を高める効果があるのですが、日焼けのために大量に使われると、本来の役割が出来なくなって疲労がたまります。ビタミンCの補給も大事ですが、そもそも活性酸素の発生を防ぐことが重要だということです。昔は「小麦色の肌」は健康の代名詞みたいに言われていましたが、それも適度にということですね。これからは、白くてスベスベ肌の高校球児が増えるかもしれません。

「がん細胞の唯一のエネルギー源はブドウ糖」の続きです。免疫細胞が十分働いていれば、がんを恐れる必要はありません。しかし、20代をピークに徐々に低下し、40代を過ぎると半分、がん年齢と言われる60代になると3分の1に低下します。年齢と共に機能が落ちるのは自然の摂理、これを老化というわけですが、実は「天寿がん」といって亡くなった方の3割くらいの人には、「直接の死因にはならないがん」が見つかるそうです。

要はがんと上手に付き合いながら、人生を全うするという考え方が大事ということです。なぜなら、ブドウ糖は人間が生きるためにも欠かせないエネルギー源だからです。完全になくすことは出来ません。出来るとすれば、過剰なブドウ糖は摂らないことと、すぐに分解される糖質は控えることです。

「基礎代謝量」という言葉をご存じでしょうか。生命を維持していくのに必要最低限のエネルギー量です。年齢、性別、体格によって変わります。ここに、一日の作業負荷量を加えれば、健康を維持する上で適正な食事量が出ます。これを守れば、筋肉は減らず、脂肪は増えません。そこで気になるのが食欲との折り合いをどうつけるかです。無理強いをすれば、必ず痛いしっぺ返しが来ます。続きは次号にて。暑い季節、皆様ご自愛ください。