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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(10)

チョッとためになる健康のお話(10)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

GI値が高い糖質の過食で肥満に

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があります。春夏秋冬が3カ月ごとに変わることを前提にした言葉ですが、最近はそうなっていません。今年は9月まで30度を超える日が続き、夏は4ヶ月、秋は2ヶ月、冬は4カ月、春は2カ月のようになっています。

秋は過ごしやすく、スポーツに適しています。ここ10年ほどで、世界を驚かせるようなアスリートが次々と生まれ、日本人のスポーツに対する考え方も変わってきました。大リーグの大谷翔平、サッカーの三苫薫、ボクシングの井上尚弥、バスケットの八村塁、短距離走のサニブラウン、バレーボールの石川祐希、体操の橋本大輝、卓球の早田ひな等です。日本は島国で、他民族との交流が少なく、切磋琢磨の領域も限られていました。オリンピックはアマチュア精神が基本でしたが、今では莫大な収入を生み出す興行となり、トップアスリートはほとんどプロとなっています。昔は東欧やソ連、中国などの共産主義国家は、国威発揚のため、メダリストに対してはプロ以上に将来を保障しました。日本も遅ればせながらプロ化が進み、国家予算も付くようになって、メダルを取れるようになりました。

それと共に、体が大きくなったという理由もあります。栄養学の発展が貢献しています。アジア人という体質的な問題はありますが、西洋の食生活を取り入れて、肉、卵、牛乳などタンパク質と脂肪を多食するようになりました。それによって欧米人に近い体格になってきたのです。先日も京都に旅行に行った時、ホテルに泊まって朝食を食べたのですが、宿泊客の半分以上が欧米人でした。そして、その多くが肥満体でした。この人たちはホテルのバスタブに入れたのだろうかと心配になりました。

単純にタンパク質を食べると筋肉になるわけではありません。筋トレをして、筋繊維を断裂させ、もう一度結合する時、筋肉は太くなります。その時に、タンパク質から分解されたアミノ酸が豊富にあれば、効率よく筋肉となるのです。従って、軽い筋肉痛になるような、チョッと負荷をかけた運動をすることがポイントです。そうすれば、何歳になっても筋肉は付きます。

ところで、肥満の原因はたんぱく質の過食ではなく、糖質の過食です。特にGI値(グリセミックインデックス)の高い糖質の過食が原因となります。

GI値とは、糖質がブドウ糖になる時間の早さを測定した数値です。食べた糖質が早くブドウ糖に変わると、その分早く各細胞に送られ、エネルギーとして使われます。しかし、血糖値が上がり過ぎた場合、細胞を劣化させるので、すい臓からインスリンが分泌され、脂肪酸に変えて、血糖値を下げます。逆に繊維質や、タンパク質、脂質などが含まれている食品は、ブドウ糖に変わる時間が長くかかり、徐々に血糖値を上げるので、インスリンは分泌されず、脂肪酸も蓄積されません。

GI値が高い食品は、砂糖、精白米、うどん、食パン、ロールパン、ビーフン、人参、トウモロコシ、グリーンピース、ジャガイモなどです。これらの食品は、がん細胞から見ると、とても嬉しい食品となります。この続きは次号にて。