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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(11)

チョッとためになる健康のお話(11)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

GI値上げずに満足感得る工夫を

今年も残すところ1カ月となりました。私の田舎では、小さい頃大晦日の12月31日は「お年取り」と言って、家族全員が揃って、出世魚と言われたブリやお節を食べました。昭和40年代まで続いたと思います。大晦日の方が豪華で、お正月は餅の入ったお雑煮だけでした。家族全員がその日を境に1歳ずつ年を取って、翌日、年神様を迎えます。いわゆる数え年です。数え年が一般的だったのは親世代まで、私たち子どもの世代は、満年齢が一般的となりました。満年齢の誕生日は、それぞれで祝います。

当時、クリスマスはテレビの歌番組を見ながらケーキを食べる日で、親がサンタ役になってプレゼントを枕元に置くなどということはありませんでした。「もういくつ寝るとお正月~♪」の歌のように、楽しみはお正月にもらうお年玉でした。お店は31日から3日まではお休み、その代わり28、29、30日は歳末の大売り出しで、豪華な福引きがありました。今は、1日からスーパーは営業しているし、お正月も普段と変わらない生活になっています。家族全員が年の節目を心新たに迎えるという風習は、宗教的伝統が息づいていなければ、やがて形骸化していきます。寂しい限りです。

GI値(グリセミック・インデックス)の続きです。

「三白」という言葉があります。精製された砂糖、塩、米のことです。いずれも味を良くするために加工されました。塩は血糖値を上げるわけではないのでGI値とは関係ありませんが、白砂糖、白米はブドウ糖に分解されるスピードが速いので、急激に血糖値を上げてしまいます。糖分でGI値が低いのは蜂蜜です。安いものには水あめが入っていますので、純粋なものを選びましょう。白米に押し麦や雑穀を入れるとGI値は下がってきます。一番良いのが玄米です。発芽玄米であれば消化も良いですし、ビタミン補給もできます。

「五味」という言葉があります。甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5種類を言います。甘味はエネルギー源ですから、疲れたら甘いものが欲しくなります。脳がエネルギー補給を要求しているのです。穀物に多く含まれています。塩味はミネラルです。夏場に汗をかいたり、肉体労働をすると、汗と一緒にナトリウムが排泄されるため、しょっぱいものが食べたくなります。また、寒冷地では体温を維持するために塩分を多くとります。そのため、東北地方は高血圧が多いと言われていますが、りんごを多食する人は高血圧にはなりません。それは、りんごのカリウムが過剰なナトリウムを排泄してくれるからです。酸味は、塩味の代わりになります。高血圧で減塩をしている人は、酢を使うと食が進みます。「酢好きに医者いらず」と言われるように、疲労回復に役立ちます。苦味は、毒に通じます。しかし、毒も適度に使えば薬になります。春は苦味の多いものを食べると良いと言われるのは、冬にたまった毒素を排泄してくれるからです。最後の旨味は日本発の味覚です。昆布や鰹、煮干しなどから取りますが、美味しい肉や魚の脂身を食べなくても、旨味のお陰で野菜中心の和食でも満足感が得られるようになっています。

GI値を上げなくても満足感が得られる工夫、これが大事ですね。