チョッとためになる健康のお話(13)local_offer健康
健康アドバイザー 上杉和彦
ロコモティブシンドローム
令和6年能登半島地震で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
私は10年以上、毎年三が日は神奈川県の大山に登っています。標高は1252m、中腹の大山阿夫利神社まではケーブルカーで上り、そこから頂上まで1時間半、かなり勾配のきつい道を登ります。下りはケーブルカーに乗らずに歩いて降りるので、足腰が筋肉痛になります。今までは晴天が多く、雲が出なければ富士山を間近に見ることができ、埼玉から東京、神奈川、江の島あたりまで関東平野を一望できる絶景を楽しんでいました。ところが今年は天候が悪く、一緒に登る予定だった子供たちも風邪気味で体調がすぐれなかったため、登るのをやめました。
その代わり、正月明けに私が所属している団体の運動会に参加しました。30代から60代と年齢層が高いため、安全第一を考えて徒競走はせず、暖房のきいた体育館で、パイプ椅子に座って応援しました。私は「玉入れ」と、「だるまさんが転んだ」と、「紙飛行機飛ばし」に参加しました。筋肉痛になるような「綱引き」や「大縄跳び」には参加しませんでしたが、各グループに分かれて熱中して応援したので、結構疲れました。今まで子供の運動会を見学することはありましたが、競技に参加したのは50年ぶりでした。多少体力が劣っていても全員が参加して、グループごとに成績を競い、全力で取り組む運動会は、他のイベントでは得られない感動がありました。松下幸之助氏が社員を一体化させて機運を上げていくために、社内運動会が一番良いと言われた意味がよくわかりました。
ところで、ロコモティブシンドロームという言葉はご存知でしょうか。和訳は運動器症候群です。健康な人が、寝たきりの状態になるまでの中間の症状を指します。主な症状をあげると、①片足立ちで靴下がはけない②家の中でつまずいたり滑ったりする③階段を上るのに手すりが必要である④布団の上げ下ろしなど家のやや重い仕事が困難である⑤2
kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である⑥15分ぐらい続けて歩くことができない―などです。「人の尊厳」という立場から見ると、自分のことが自分でできなくなると、生きる自信をなくし、人生に希望を見出せなくなります。
「ロコモ」になりやすいのは女性と肥満の人です。女性は更年期を過ぎると女性ホルモンの分泌が減少して、骨粗鬆症になりやすくなります。すると、関節の軟骨がすり減って膝や腰、足首などで炎症が起こり関節痛となります。肥満の人も関節の負担が大きいため関節痛を起こしやすくなります。関節痛が起こると、歩行や階段の上り下り、立ったり座ったりができなくなり、体を動かせなくなります。すると、筋肉がやせていきます。寝たままの状態が1週間続くと10~20%の筋力が低下すると言われています。動物は「動く物」と書くように、動かなくなったら死んでしまいます。
運動は霊界からお呼びが来るまで続けることが大事です。体を動かすと気分が爽快になり元気が出るのは、「幸福ホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されるからです。私は3日に1度筋トレをしていますが、この時間は自分と身体との対話だと思っています。「大丈夫、出来る、出来る」と身体を励ましながらやっています。