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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(18)

チョッとためになる健康のお話(18)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

「高血圧」に気をつけよう

梅雨が終わると本格的な夏がやってきます。熱いサウナに入ってじっと我慢するのは、毛穴を開いて汗と一緒に毒素を出し、健康になろうとする目標があるからです。また、水風呂の爽快感も疲労回復に役立ちます。

今年の夏の楽しみは、パリオリンピックで活躍する日本人選手を見ることかもしれませんね。健闘する選手たちと一緒に熱く応援して、暑い夏を乗り越えていきましょう。

私の父は病弱で、40代から脳卒中になり、3度も倒れました。当時は「中気」と呼んでいました。今はそんな言い方はしませんね。「人は血管と共に老いる」と言われます。血管には柔軟性があり、若ければ長生きすることができます。血管は筋肉でできています。筋肉には適度なたんぱく質と脂質が必要です。日本が高度成長期に入るまでは貧しかったので、ご飯と煮物とみそ汁がほとんどで、時々魚が出るくらいでした。たんぱく質と脂質が足りないので、血管が破れる脳卒中が死亡原因のトップでした。経済が豊かになるにつれて、西洋料理や中華料理を食べるようになり、たんぱく質と脂質も増え、血管は丈夫になりましたが、今度は血管内部にコレステロールや中性脂肪がたまって詰まりやすくなり、脳梗塞と心筋梗塞が増えてきました。今は死亡原因の1位ががんですが、2位が心筋梗塞、3位が脳梗塞となっています。

4月に高血圧の判定基準が140から160に上がりました。1990年代までは「年齢+90」以上が治療対象になっていました。私の場合なら、現在64歳なので154となります。対象年齢によって基準を変えていたのです。それは、年齢と共に新陳代謝が落ち、水分も減って来るので血管も硬くなるし、内径も狭くなります。心臓の圧を高くしないと血液が行き届かなくなるのです。これは自律神経が自動的に調整しています。先月号でもお知らせしましたが、塩分過多で血液の総量が増えて、圧が上がるということもあります。高血圧にはそれなりの原因があるのです。

140に下げた経緯は、1999年に世界保健機関(WHO)と国際高血圧学会(ISH)が、「140/90以上は高血圧」と定義したからです。日本もそれにならい、2000年に判定基準を140に下げました。しかし、この時点では70代は150~160、80代は160~170と年齢によって幅を持たせていました。しかし、2003年になると年齢に関係なく140以上を高血圧とし、降圧剤による治療を推進するようになりました。そのため、高血圧の患者が10倍に増えました。当然、病院の売り上げも伸び、製薬会社の売り上げも伸びました。しかし、薬には必ず副作用が伴います。血管が硬くて細くなったから、圧を上げて酸素と栄養を細胞に届けていたのに、無理に圧を下げれば、届かなくなります。意欲が減退し、認知症になる可能性も増えてきます。

血圧は一日の中でも相当変動します。激しい運動をしたり、緊張したり、興奮すればすぐに上がります。交感神経が働いて血管を縮め、戦闘態勢に入っているのです。そのまま続けたら疲労がたまって病気になってしまいます。そこで、副交感神経が働いて血管を広げ、血圧を下げます。カロリー制限、リラックス、深呼吸、睡眠が大事ですね。