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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(22)

チョッとためになる健康のお話(22)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

「真向法」の実践

「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉は、どんなに暑くてもお彼岸を過ぎるころには涼しくなるから、頑張ろうという意味合いだったと思うのですが、最近はお彼岸を過ぎても夏日が続くため、ほとんど言われなくなりました。

「天高く馬肥ゆる秋」も、気温が下がって水蒸気が少なくなると空気の透明度が増すため、空が高くなったように見えるという意味です。新米、栗、芋、柿、りんごなど美味しい作物がたくさんとれる季節になりました。「天高く人肥ゆる秋」でもありますね。

先月の続きです。たった四つの体操で健康を回復させ、老化を防止する「真向法(まっこうほう)」は、長井津(ながいわたる)氏が開発したと言いました。脳溢血の後遺症で半身不随になり、人生を諦めかけた長井氏が、「頭面接足礼」という姿勢を3年かけて完成させたら、健康体に回復したという話ですが、皆さんは信じられますか。そんな体操で後遺症が治るなら病院はいらないと言われそうです。

筋肉の中には血管とリンパ管と神経が通っています。筋肉が伸びると血管もリンパ管も神経も伸びます。そして、流れも良くなります。血液の中にある酸素と細胞を作る材料が、効率よく細胞に届くようになります。新陳代謝や免疫力は年齢と共に徐々に衰えていきますが、筋肉が柔軟でその中に入っている血管もリンパ管も神経も柔軟であれば、老化のスピードを遅らせることができます。

長井氏のように半身不随が必ず治るとは言えませんが、可能性は高くなるでしょう。そういう意味では「いのちの体操」と言えるかもしれません。本当は図を書いて説明するのが良いのですが、今はネットで何でも検索できる時代なので、探してみてください。

1番。あぐらのように座って、足を組まず、足の裏を合わせ、足と股の間にこぶしが一つ入るぐらい足を近づける。これを「楽座」という。腰を立て、背中を曲げずに上体を前に倒し、顔を床につける。その際、両膝も床から離さない。

2番。両足を前に伸ばして座る。両足のつま先を揃えて手前に引く。腰を立て、背中を曲げずに上体を前に倒して、顔を足につける。その際、膝はしっかり床につける。

3番。両足を出来るだけ左右に開いて座る。最初は90度ぐらいでも良い。腰を立て、背中を曲げずに上体を前に倒し、顔を床につける。その際、つま先を立て、膝はしっかり床につける。上体を前に倒せるようになると、自然に足も開いていく。

4番。正座の姿勢から、両足の踵を左右に開いて、その間にお尻を床に落として座る。これを「割り座」という。足首の硬い人はできないので、徐々にやる。割り座ができたら、少しずつ上体を後ろに倒していく。上体が床についたら、両腕をまっすぐ伸ばして後ろに倒して床につける。ゆっくり腹式呼吸をする。

文字にするのは簡単ですが、体操選手ぐらい体が柔軟でないとできない姿勢です。しかし、一日1ミリずつ、「イタ気持ちいい」感覚を味わいながら取り組んでみてください。1カ月すると、自分でもびっくりするぐらい柔らかくなります。この体操を通して、全筋肉の7割を占める腰回りと下半身の筋肉が柔らかくなり、若返ります。