チョッとためになる健康のお話(24)local_offer健康
健康アドバイザー 上杉和彦
目を酷使する時代
「1年の計は元旦にあり」。
年齢を重ねる度、今年は「無病息災」でありたいと願う気持ちが強くなります。今までできていたことができなくなるからです。私は小学生のころからメガネをかけていました。今でこそ珍しくないですが、当時は少数派で、年に一度の視力検査が一番憂鬱でした。また、黒板の字が見えにくくなるので、席順がどうなるかも悩みでした。原因は「テレビの見過ぎだ」と親から言われていましたが、遺伝も大きいと思います。私の父は「ど近眼」で、牛乳瓶の底のようなメガネをかけていました。今時、牛乳瓶の底と言っても牛乳を瓶で飲む習慣がないので、ピンと来ないかもしれません。また、レンズもほとんど薄型になっているので、そういうメガネを見たことがないでしょうね。
近視は近くの物を見続けて、水晶体というレンズが厚くなったまま元に戻らなくなった状態をいいます。若い時は水晶体は柔らかいので、戻りやすいのですが、水晶体を引っ張って元に戻す毛様筋という筋肉が十分に働かないと元に戻りません。特に、6歳未満の幼児がスマホを見続けると、毛様筋の発達が止まってしまうので、強度の近視になるというデータが出ています。
老視は、水晶体が硬くなってしまい、毛様筋が働いても厚くならない状態をいいます。正視の人が高齢になって老視になると、老眼鏡をかけなければ細かい字を読むことはできません。しかし、近視の人はもともと水晶体が厚いので、そのまま硬くなってもある程度見えるのですが、あまり細かいとピントが合わないので疲れてしまい、遠近両用メガネを作るか、老眼鏡をもう一つ作らなければなりません。私は遠近両用メガネを作ろうとしたのですが、度が違い過ぎて慣れなかったので、老眼鏡を作りました。常に必要なので荷物が増えました。昔、お年寄りが3つぐらいメガネを持っていて、とっかえひっかえ使っているのを見て、大変だなあと思っていましたが、同じ年代になってみるとその苦労が身に染みます。
そして、さらに老化が進んで水晶体が白く濁ってくると白内障になります。私も片方の目の視力が急に落ちてきました。まさかそれが白内障とは思っていなかったので、メガネ屋さんに行って、レンズを交換しました。しかし、それでも視力が落ち続け、今度は物が二重に見えるようになったのです。眼科に行くと正真正銘の白内障でした。
白内障の手術は10分ほどで終わります。人生初の手術台に上がっていざ手術となりましたが、強い照明の光を水中から見上げているような感じでした。眼球に人工の水晶体が入りました。1週間ぐらいは目が充血していましたが、見え方は良好で、メガネがなくてもクッキリ見えます。コンタクトレンズが眼球に入ったようなものですから、視力が落ちることも二重に見えることもありません。近くに焦点が合うレンズにしたので、遠くを見る時は眼鏡が必要です。
IT時代が進むとますます目を酷使します。毛様筋と水晶体を柔軟にして、遠近に焦点が合う正視を保つためには、歯医者に行って定期的にクリーニングするように、眼科にも同じような予防システムが必要だと思いました。