機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」人生を豊かにする金言名句(28)

人生を豊かにする金言名句(28)local_offer

ジャーナリスト 岩田 均

「キョウイク」と「キョウヨウ」

「週にたった一回、家から出かけて来る所がここだよ」

あるデイケア施設で80歳くらいの男性がつぶやきました。ごく最近まで現役で仕事をしていました。ところが引退した途端、大病を2つ、3つと続けて、すっかり体力を落としてしまったと言います。この男性は普段、ずっと家の中で過ごしているそうです。超高齢化社会の日本になりましたから、こうした光景は珍しいことではないのでしょう。

別の70代の男性。「定年退職したら、本当にやることがないんですね。家にいると家内の迷惑になると思うから、日中は図書館で過ごしています。それもいつまで続くやら」。ため息半分でした。現役時代からのお付き合いでしたが、久しぶりに会った時、好奇心旺盛な以前の姿はどこへやら。その変貌に驚きました。

外に向かう気力がなくなるのは高齢者にありがちなことです。そこで、教育と教養を高めれば生きがいのある人生が……ではなくて、今回の名句である「今日(キョウ)行く(イク)」先があれば良し、「今日(キョウ)用(ヨウ)」があれば良し、です。出典ははっきりしませんが、ネットで検索してみると、全国町村会サイト、お寺の法話、マスコミのコラムなど、あちこちで引用されていました。元気で毎日を送る秘訣は「キョウイク」と「キョウヨウ」だということです。

もう亡くなりましたが、国会議員だった方が「これ、いい言葉でしょ」と紹介してくれたのを思い出しました。この方も健康に大変気を使っていました。「健康には3つが必要。それが揃っての健康だ」と。今、覚えているのはその一つ「財布の健康」。健康維持には「お金も必要だ」とストレートに言わないで、「財布」という言い方にして考えさせるので、嫌らしさを感じさせませんでした。「これくらいあれば健康な財布だな」と思えるのはどのへんでしょうか。食事は腹八分目が健康の秘訣ですから、同様に多すぎず少なすぎず、ということでしょうね。

現役バリバリの方からは、毎日が忙しくて「行く所ならたくさんあるよ」「用事は山のようだ」と言われそうです。でも「居場所がある」「出番がある」(ともに全国町村会サイトから)ことが大切。行く場所を見つけ、用事を作りだして、過ごしていきたいと思います。