機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」人生を豊かにする金言名句(30)

人生を豊かにする金言名句(30)local_offer

ジャーナリスト 岩田 均

老いては子に従え

人生、それなりに年を経てきた今、このことわざの意味合いを深く考えるようになりました。「子」といっても実の子だけでなく、自分より若い人に頼るという発想をすれば、現代社会の中でできる体験はいろいろとあると思います。

昨年は、わが家の家電が次々と壊れていきました。耐用年数の巡り合わせでしょうか。購入した大物家電は後日、業者が運び込んでくれますし、古い方は引き取ってくれます。これはかなり助かります。1カ月の間に、自分の子供くらいの若い業者が2組別々にやってきました。その一つは洗濯機。それは量販店のキャンペーン付きの商品でした。ただ、やっかいな手続きを”同伴”していました。光回線の交換です。洗濯機と電話回線の契約がどうつながるのか全く理解できませんが、少なくとも洗濯機は約4割引になりました。

時代を大きく変換させたのは、IT化だと言う有識者がいます。「紙」に頼っていたアナログ世代や多くの高齢者にとって、社会のIT化はかなり高いハードルになりました。わが家も回線切り替えで、ルーターなどの機器の交換と接続のやり直しなどをしました。取扱説明書を読みながら、ひらめきのようなものに頼って…では、にっちもさっちもいかなくなり、”ああ、時代に置いて行かれた”と感じました。

ふと、「老いては子に従え、だよ」と思いました。この場合の「子」とは誰だろう。契約を担当した若い店員に思い切って電話を掛けました。以後8時間、電話をほぼつないだまま、次々と、かつ丁寧にアドバイスをしてくれて、最低限の作業を終えることができました。その瞬間、「良かったあ!」と叫んだのは店員の方(電話の向こうで)。気持ちを共有していると思えて嬉しくなりました。

江戸時代、儒教の影響で「女性が従うべき三つの教え」(女子三従の教え=亀山市歴史博物館サイトから)の一つが「老いては子に従え」でした。意味はそのままですが、今日では男女ともに当てはめて使います。今後さらに年齢を重ねていった時、素直に「従える」とよいのですが、どうなりますやら。