人生を豊かにする金言名句(39)local_offer金言名句
ジャーナリスト 岩田 均
茶柱が立つと縁起が良い
最近はコーヒーを飲む機会が多くなりましたが、生家では日本茶が大好きだった母の影響もあり、ほぼ毎日緑茶を飲んで育ちました。
小学生のころは身体が弱く、夏休みは必ずと言っていいほど食中毒に。そのつど半月くらい寝込んでいました。冬は冬で風邪を引いて病院通い。そしてある時、私が高熱などの症状を出したため胸部レントゲンを撮りました。昔のことなので、田舎の開業医での画像診断は翌日になります。”医師から何て言われるだろうか”と心配する様子の母は深刻そのものでした。
翌朝、朝食を終えて茶碗にお茶を注ぐと茶柱が一つ立ちました。母の顔色はパーッと明るくなりました。その日、病院から戻ってきて言った母の言葉。「良かった。やっぱり、肺炎じゃなかったね」。重篤な病気を心配したけれど、茶柱が立ったので”そうではない”と直感したのでしょう。
茶柱は、日本茶を淹(い)れた際に茶碗の中で茎の部分が縦に浮いた状態をいいます。茎が多いお茶といえば、ほうじ茶。「番茶」の部類に入るそうですが、その昔、お茶の産地の商人が、人気がない番茶を売りやすくするために「茶柱が立つと縁起が良い」と触れまわったそうです。ですが、茶柱が立つのは「意図せず」がミソですから、茎をたくさん入れたり何度も試したり…では、ありがたみがなくなるというものです。
ジンクスとかゲン担ぎとか言いますが、前者の語源は縁起の悪い言い伝え、後者は「良い」方の意味になります。今日、ジンクスは両方の意味を持って使われているようです。小中高の通学途中、遠くに富士山が見える所を通りました。霊峰がくっきりと見えるのは年に一度あるかないか。そういう日は”良いことがある!”と心がウキウキ。例えば、体育の実技試験がある日なら”きっと上手にできる”と期待しました。ほかにも場所や数字など、どういうルールだったか忘れましたが、いくつかゲン担ぎをしていたのを思い出します。