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家庭問題トータルカウンセラー 松本 雄司
心と体と財布の総点検
”光陰矢の如し”…今年も師走がやって来た!
今年もはや12月。1年があっという間に過ぎてしまいました。子供のころは1年といっても長く感じましたが、40~50代になると1年が短くなったように感じます。そして、60歳を過ぎると、本当にあっという間に1年が過ぎていき、時々恐ろしさを感じることさえあります。
客観的な時間は変わっていないはずですが、自分が感じる時間感覚、つまり、主観的・体感的な時間感覚には相当な違いがあります。
いずれにせよ、地上生活を過ごす人間にとっては”時間”が貴重です。あまりにも貴重です。時間を失うことは全てを失うことに等しいからです。
だからこそ、天は地上人生を送る人間がぼんやりと過ごして時間を無駄にしないように、太陽と地球と月の公転・自転という運動法則を利用して、1年と1カ月と1日という周期を与え、時間の経過を自覚できるようにしてくれたのでしょう。
このような”時間の節目”は非常に重要で、その節目ごとに、自分がなしてきたことを整理・反省し、次の時間を新たな気持ちで出発することができます。
そういう意味において、日本でも昔から12月を”師走”と名付け、1年間の総まとめ・総点検の月と位置付けて慣習化したことは先人の知恵だと思います。
年に一度の総点検は成長と発展の鍵
12月は会社や商店では年末総決算の月で、在庫一掃、大特売で年度目標の達成に尽力し、棚卸、業績確認、備品・設備の点検、各種支払い精算を行います。
私たち個人の生活習慣の中でも12月は”すす払い”の月です。大掃除・総整理をして、今年の反省と来年の計画を立てて新年に備える大切な時期です。
どんな分野の仕事であれ、1年の節目ごとに総括し、目標と成果の確認をしなければなりません。さらに、構成員への適正な評価と表彰、そして、総括と反省をもとにして綿密な来年の方針と計画を立てる必要があります。
発展している企業や団体は、この点が非常にしっかりしています。前年と同じことを漫然と繰り返している組織は発展ができません。
この点は個人でも、家庭でも同じことが言えるかもしれません。
竹は”節”があるから細くても高く伸びることができます。樹木は”年輪”があればこそ、強風にも耐えうる頑丈な大木に成長できます。同じように、人間も総括と反省という”けじめ”のある生活を重ねてこそ、成長できるのだと思います。
家庭でも三つの総点検をしよう
”家庭”は家族で構成された最も大切な社会の基本組織です。ここでも、年末・正月という節目には、少なくとも三つの面で総点検してみましょう。
まず第一の点検は”財布の点検”です。家庭を支える経済的土台である家計の点検をしておくことです。近年は仕事も収入も物価も不安定な時代です。
この1年の収支はどうなったのか、年内支払いの確認、今後の見通しはどうか、不足なら対策をどうするのか…等々、父親と母親がよく話し合って合意しておかなければなりません。
家族の心と体の点検もしよう
第二の点検は”体の点検”です。家族一人一人の健康状態の確認をしましょう。健康診断の結果、入院や手術など万一のための保険等の備え、病気や事故の予防策、今後の見通しなどを確認することですが、特に、離れて暮らしている子供や高齢の祖父母には配慮が必要です。
最後に、第三の点検が”心の点検”です。一番大切な家族の愛情確認です。
夫と妻の愛情関係はどうなっているか、子供一人ひとりとの交流は十分にできているか…など、家族間の心情関係がどうなっているのかを思い起こして整理し、対処する必要があります。
特に、離れたところで暮らしている子供や祖父母との交流は不足しがちです。ラインで話したり、電話をしたり、手紙を送ったり、できれば好物などを送ってあげたりして、愛情をしっかりと伝えましょう。
これら三つの点検をよくしておかないと、後で難しい問題が起きてしまいます。
昔のように親・子・孫の三世代が大家族で暮らせることが理想ですが、現代は子供も遠くに就職し、夫と妻の実家も遠くて祖父母との交流も難しいことが多い時代です。家族の中核である夫婦ですら単身赴任で別居しているような時代なのですから、家族全員の交流は容易ではありません。
深い情的な絆を結ぶためには、相当の努力をして愛情を伝えなければなりません。
せめて年に一度の年末年始は、言葉や物を贈って愛情をしっかりと伝えてあげたいし、できれば、直接会って家族同士で交流して愛の絆を深めたいものですね。