春夏秋冬つれづれノートlocal_offerつれづれノート
ジャーナリスト 堀本和博
人生は経験いろいろ。古希を過ぎて体験した衝撃波破砕術による尿管結石治療
──治療法は2つあります。どちらも石を破砕するのですけど、ひとつはレーザー光線で行うのと、もう一つは衝撃波でする方法があります。どちらを選択されますか?
実は先月号の小欄はあわや休載のピンチに直面し、編集長ほか関係者をお騒がせしたのである。発端はほぼ2カ月ごとにしている血糖値検査。この日はからだがすこぶる重たく感じ、下腹部が鈍痛で吐き気がするほど気分が悪かった。あとで、あれが血尿だと知らされたが、3、4日前には緑がかった焦げ茶色の尿が出た。血尿は文字通り、まっ赤な血の色をした尿だと思っていたので、ゼンマイなどあく抜きしないで山菜料理を食べたせいだと思い気にしていなかったのである。
長年の主治医の先生は検査好きな方で、いつもその勧めを回避する私と攻防を繰り広げてきたが、この時ばかりは降参した。言われるまま血液検査をはじめレントゲンからシーティ、超音波検査まで受けた。
結果、画像には尿管の中ほどにタテ長の約1センチの石が映っていた。尿管結石で、男性は7人にひとり、女性は15人にひとりが生涯に一度は罹患するというデータがある。古希を過ぎて、そのお仲間入りをしたことに。人生は経験いろいろである。
冒頭は紹介状を持って診察を受けた専門医(大学病院泌尿器科)の説明で、レーザーだと尿管に管を入れて行うから、入院が必要。衝撃波なら腹部に衝撃波(音波)を何回も打ち石を叩き割る方法で、あとはどちらも尿と一緒に破砕した石を流し出すのである。
小欄の原稿締め切り日と重なる入院を避けられる後者を選び休載を回避できたわけだが、石を叩く回数まで問う取材の詰めが少し甘かった。石を的に叩く音波の発射回数が相当になることは覚悟したが、何と1時間に約4千発も打った。1分間に約68発の計算である。
これを少し左下斜めに傾いたベッドに仰向けに寝る、その不自然な苦しい姿勢をじっと動かさないでいるのも苦痛である。衝撃波は腹部には何の物理的衝撃もないのに、耳の中では金づちが石を叩く「カーン、カーン」という金属音が響く。実に不思議な感覚だった。
さて、3週間後の検査で、石は跡形もなく消えていた。おそらく、砂より細かく粉砕されて流れ出たのだろう。尿から出た際の痛みの自覚もないままに終わったのは有り難かった。暦の上では立秋とはいえ、盛夏はこれから。皆様も健康第一によき日々を!