機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」春夏秋冬つれづれノート

春夏秋冬つれづれノートlocal_offer

ジャーナリスト 堀本和博

タイムスリップして中山道・妻籠宿の江戸情緒を楽しむ外国人の方が日本人より多かった

春、夏、冬休みをウキウキと楽しみに待つのは学生だけではない。齢(よわい)70を過ぎたいい歳をして、と笑われるかもしれないが、笑わば笑え。である。秋を除いて1年に3回ある長期の季節休みの各1日は、もう10年以上前から、記者仲間のひとりと「青春18キップ」の2人旅をしている。

始発電車に乗って、思いっきり遠くへ脚を延ばして観光や温泉を楽しみ終電で始発駅に帰ってくる、あれである。そのレポートはこれまで時々、本欄でも綴ってきた。この夏休みは猛暑に一転する直前の7月下旬の日曜日、まだ梅雨寒の時に相棒と出かけた。

朝5時55分吉祥寺駅(武蔵野市)発の各駅停車に乗り、中央線八王子駅6時35分発の松本行に乗り継ぐと、一気に塩尻駅(長野県)へ。ここで中央西線10時54分発中津川(岐阜県)行きに乗り換えると、岐阜県境近くの南木曽(なぎそ)駅に約12時半に着く。ここからバスで7分ほどで目的地の妻籠宿(つまごじゅく)である。

帰りは南木曽17時19分に飛び乗り、逆の経路を戻ると、大月(山梨県)発21時31分で吉祥寺着22時51分という寸法である。

つまり、江戸と京を結ぶ江戸時代の主要街道のひとつ、木曽街道とも呼ばれた中山道(なかせんどう)六十九次の42番目(江戸から数えて)の宿場町。ここが国指定史跡とかはどうでもよく、伊那街道が交叉し交通の要衝として栄えたことを伝える本陣や脇本陣の大名宿、旅人の宿や民家、厩(うまや)や水車小屋などなど。江戸時代にタイムスリップし、当時の面影がそのまま残る、木曽檜の森林に囲まれた妻籠宿の街並みを4時間ほど散策した。その非日常をたっぷり堪能できたわけである。

こんなところにまで、と驚いたのは、ここにやってくる日本人よりも外国人の方が多かったことである。名古屋、大阪などからの団体バスご一行さまもいたが、リュックを背負い決して便利とはいえない電車とバスを乗り継いでやってくる人たちの間では、英語やスペイン語が飛び交っていた。若者だけでなく、老弱男女の小グループの人たちや家族連れが異国の江戸情緒を楽しんでいる光景を目にすることも、新しい発見をしたようで心が躍った。長休みはないが、今月からは秋は秋で絶好の観光シーズン。皆さんはどちらの非日常へ。