福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から(14)local_offer福祉のこころ
「障がい者親の会」事務局 西口康子
心は繋がっている
私は「障がい者親の会」の事務局スタッフをしています。
会の活動は、障がいのある子供のための行事、その親たちの交流や情報交換、学習会などですが、それらの計画にしたがって、行事の準備と、会員への連絡、資料準備などを行います。また、年4回発行する「支部だより」の作成、支援会員への報告・啓蒙なども事務局の仕事です。
私がスタッフになったきっかけは、ある障がいのあるお子さんを育てている方との出会いでした。彼女は私の妹と同じくらいの年齢で、当時子育てにご苦労されており、妹のようにも思える彼女を支えたいという気持ちになったことが始まりでした。
この間には、それまで続けていた自分の仕事と「障がい者親の会」事務局スタッフの活動との両立が困難になったときもありました。誰かがやらなければとの使命感で歩んだ時期もあったのです。
しかし、会員との交流を通して、現在は「私たちの心は深いところで繋がっている」ことを教えられ、当初の活動の動機だった、皆さんのお役に立ちたいという思いで活動しています。
そう感じた体験として、こんなことがありました。
お子さんの療育のため、自宅から遠い距離の送迎を続けたという母親の話を伺った後のことです。彼女のお子さんに捧げられた努力というものが、とてもありがたく貴く感じ、胸が熱くなりました。会員の皆さんのことを思うとき、家族のために捧げておられる日々の歩みがとても尊く思われ、いつも感動をいただきます。お返しせずにはおられない、お役に立ちたくてたまらない思いになります。
もう一つは、子育ての悩みについて若いお母さんとお話しした時のことです。彼女の悩みに対して妙案が浮かんだわけでもなく、「子どもの心に寄り添い、先ず受け容れることから始めよう」といった、何度も聞いたことのある結論に至りました。
その後、きょうも頑張ってお子さんと向き合っているだろうなと思い出し、その努力がとても尊く思われました。そうした折、彼女から、本気で努力したい気になったというお手紙をいただき、私たちの心は繋がっているのだなと感じたのです。
さて、子供たちの年齢が高くなるにつれ、それぞれ課題も変化します。
私は、子供たちが自身の心と体の課題を抱えながらも、その障がいを受け容れて、自分に与えられた能力を最大限に発揮して、喜んで生きることができるようにサポートしたいのです。彼らは、いずれ親亡き後をどうするかという切実な課題と向き合うこととなります。そのために手探りながら、作業所やグループホームなどのことも視野にいれ、父母の皆さんと一緒に子供たちの将来について考えています。
いまは恒例イベント、子供たちのための「夏祭り」の準備中です。今日の一歩に心を込めて、子供たちの嬉しい体験の一つひとつが、彼らの心を少しでも潤し、その生涯を支え続けてくれるだろうことを思いながら。