機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から(33)

福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から(33)local_offer

介護保険の利用対象と手続きについて

Q 介護保険を利用して車いすや杖などの福祉用具を借りられると聞いたのですが、どのような手続きが必要ですか?

高齢者や要介護者が身体機能の低下で日常生活が困難になったとき、手助けしてくれる道具のことを福祉用具といいます。効果的に使うことで自立ができるようになったり、介護者の負担を軽減することができたりします。

介護保険でレンタル(借りる)できる福祉用具には「車いす」「特殊寝台(ベッド)」「手すり」「スロープ」「歩行器」「補助杖」など13種類あります。ただし、介護度によって利用できない用具もあります。所得額による介護保険利用者負担の割合に応じ、費用の1~3割の自己負担で借りることができます。

介護保険で購入できる福祉用具は、「腰掛便座」「特殊尿器」「入浴補助用具」などの5品目です。年度内10万円までは福祉用具が1~3割の負担で購入でき、年度が替われば更新される仕組みになっています。

介護保険で福祉用具を利用するには、都道府県や市区町村の指定を受けた「福祉用具貸与事業者」に依頼する必要があります。指定事業者には専門知識を持った「福祉用具専門相談員(以下、専門相談員)」が配置されており、利用者の希望や体調を伺いながら、環境に合った適切な用具を提案してくれます。

福祉用具の利用を検討する際は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。ケアマネジャーと一緒にケアプランを作成し、福祉用具事業者を選びます。専門相談員が自宅を訪問して下さるので、アドバイスを受けながら用具を選定し、その中から利用者が使いやすいものを確認し、決定します。サービス開始後は、定期的なメンテナンス、アフターサービスもあります。福祉用具は、利用者の身体の状態に合わせた調整や選び直しが必要なため、専門相談員は定期的に訪問し、不都合がないかなど確認することが義務づけられています。

福祉用具はインターネットやホームセンターでも安価に販売されていますが、要介護者が毎日使用するものであり、事故などが無いようアドバイスを受けて最適なものを選ぶ必要があります。

レンタルでは、必要な期間だけ使い、使い終わった後の「置き場所に困る」ということもありません。アフターサービスをしっかり行ってくれるので、交換や修理なども依頼できるというメリットがあります。しかし、購入する方がメリットのある人もいらっしゃることでしょう。

さて、住宅の改修も介護保険の対象になります。主な改修工事としては、手すりの取り付け、段差の解消、扉の取り換えや撤去、便器の取り換えなどが挙げられます。利用限度額は20万円で、原則1回限りです。

住宅改修を考える場合も、ケアマネジャーに相談しましょう。工事開始の前に、市区町村へ申請書、改修が必要な理由書などを提出し、審査を受け、着工。完了後にも報告書を提出し、介護保険対象と認められると20万円を限度に工事費の7~9割が返金されます(償還払い)。

福祉用具の利用は、本人の可能性を広げる効果があります。また「道具を使ってどのような生活を実現したいのか」を見守り、ご本人の生活の質の向上という視点も同時にもつことが大切でしょう。


本欄は、TLSC(True Life Support Center:トゥルーライフ・サポートセンター)のメンバーが交替で執筆するものです。
TLSCは、医療・福祉の専門家有志が、人類一家族の理想実現を医療・福祉分野の視点から研究し運営しています。