機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から(44)

福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から(44)local_offer

社会福祉士・精神保健福祉士 末吉重人

障がい者福祉について (8)

障害者総合支援法について(上)

はじめに

先に、身体・知的・精神の各障がい者への支援が一元的に行われていることを紹介しました。今回からその障害者総合支援法について考えてみます。

引きこもり支援

たとえば、引きこもりの人たちが、社会への適応に挑戦する場合、就労を目指すことになります。最初に週3日ほどの「就労継続支援B型」から、週6日ほどの「就労継続支援A型」に移行し、最終的にフルタイムに近い「就労移行支援」を受けることになります。

この就労支援は障害者総合支援法によって行われます。引きこもりは障がいではありませんが、その制度を利用することになります。

ちなみに、引きこもりからの脱出は、家族だけではかなり困難な課題です。NPOなど専門的な第三者の支援を受ける必要があります。ニーズ(必要性)のある場合、自治体の窓口に相談してみましょう。引きこもりには、根底に精神障がいがある場合もあります。

支援の仕組み

障害者総合支援法に基づいた、行政による支援の仕組みのあらましを紹介します。初めに、障がいの有無にかかわらず、困っていることを自治体の相談窓口に相談します。自治体が障害者総合支援法の支援対象であると判断すると、障害支援区分というレベル分け(1から6段階。6が最重症)が行われます。レベルによって支援の程度が異なるのは、介護保険と同じです。

障がいがなくとも支援対象になることもありますが、障害者手帳保持者にはさらに手厚い支援が行われます。難病も含まれることは特筆に値します。

支援の内容

支援は、「自立支援給付」(4種類)と「地域生活支援事業」(後述)に大きく分けられますが、主に前者を利用することになります。その中には先に紹介した就労支援などの「①訓練等給付」(精神障がい者も同じような就労支援を利用します)、また介護が必要な場合の「②介護給付」があります。介護保険法では原則、65歳以上が利用の対象となっていますが、障がい者の場合、年齢のみで区分するわけにはいきません。障がい児もいます。介護が必要な場合、この介護給付を利用することになります。

通院費無料のサービスも

さらに、知っておきたいサービスとして、精神疾患治療のための通院費が無料になる制度があります。「③自立支援医療」という名称のサービスです。精神障がいの項で紹介した精神疾患で困っている場合、治療費を心配することはありません。ぜひ利用したい制度ですが、所得に応じた自己負担もあります。

また、障害支援区分に基づいた支援計画を作成する「④相談支援」もあります。この四つが「自立支援給付」の枠組みとなります(この項つづく)。