機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から (27)

福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から (27)local_offer

納得のいく訪問介護の利用

Q 夫婦二人暮らしです。訪問ヘルパーさんの利用を勧められていますが、他人が家に入ることに不安があります。訪問介護サービスについて教えてください。

多くの人は最期まで住み慣れた環境で暮らしたいと望んでいます。核家族化が進み、家族機能が低下している現在は、訪問介護の役割が大きくなっています。最初は不安もあるかと思いますが、慣れてくると実は便利で有難いサービスです。

訪問介護は、介護福祉士や訪問介護員(ホームヘルパー)が、要介護者とその家族だけでは日常生活を送ることが難しくなった家庭に訪問して支援をするサービスです。

大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院時乗降介助」の三種類があります。

  1. 身体介護は、身体に直接触れて行う介護で、食事、入浴、清拭、着替え、排泄、移動移乗などの介助です。自立のための見守りや指導も行います。
  2. 生活援助は、家事が困難な場合に本人に代わりお世話をする支援で、調理、掃除、洗濯、買い物代行、薬の受け取りなどです。
  3. 通院時乗降介助は、介護資格を持つ運転手による乗降時介助、移送の支援です。乗車前後の屋内外移動介助や受診時の受付支援も行います。

訪問介護利用のメリットは、要介護者本人のペースに合わせた支援をしてくれるので、生活リズムを崩さず、今の生活を無理なく継続できることです。家族の負担を軽減し、介護による共倒れのリスク回避にもなります。定期的な訪問で、心身の状態の変化にもいち早く気づいてくれます。また、介護がうまくできない介護者に対し、適切なアドバイスもしてくれます。

デメリットは、他人が家に入ることに抵抗があったり、本人にも家族にも利用に戸惑いがあったりすることです。

その場合、はじめに「訪問介護員は何をする人か」という説明を受けてみてください。家事のやり方や介護方法で気になることは、遠慮せずに伝えましょう。本人との相性も重要です。どうしても相性が合わない場合は介護員の変更も可能です。

また、訪問介護員には法律による守秘義務がありますから、本人や家族の情報を外部に話すことはありません。

訪問介護の利用は、まずケアマネジャーに相談します。どのようなサービスがどのくらいの頻度で必要かを検討し、事業所と細かい援助内容や訪問時間、利用料金などを確認してからサービスの開始になります。ただ、訪問介護員は家政婦さんとは違いますから、できないこともあります。

介護サービスの利用を受けたがらない高齢者の多くは、介護を受けることについて、他人に頼ることを情けないと思ったり、申し訳なく感じていたりします。自信も喪失しているのかもしれません。助けてもらっているという負い目から、自分の好きなやり方で行うことができず、要望や文句も言えず、不満を抑え込み、歯痒く感じている場合もあるでしょう。

しかし、介護する側は、そういう利用者の気持ちを受け止め、本人のできることを一緒に見つけ、本人ができない部分についてだけ、必要最小限の支援をすることで、本人の自尊心を大切にするよう心がけています。本人が決められることは決めてもらい、納得して受け容れてもらえるように支援しています。必ずやプロの訪問介護支援は、頼りになることでしょう。


本欄は、TLSC(True Life Support Center:トゥルーライフ・サポートセンター)のメンバーが交替で執筆するものです。
TLSCは、医療・福祉の専門家有志が、人類一家族の理想実現を医療・福祉分野の視点から研究し運営しています。