福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から (34)local_offer福祉のこころ
介護保険料について
急速な高齢化によって、介護の必要な高齢者の増加や介護状態の重度化、長期化が進むようになり、同時に介護する側の家族も高齢化や核家族化が進むことで、家族で介護をすることが困難になると予想されていました。国は、平成12年に介護の必要な人を社会全体で支え合う制度として介護保険制度を始めました。介護保険は、その大事な財源です。
介護保険制度は、全国の市町村および特別区が運営者(保険者)となり、その地域に住む40歳以上の全員が被保険者(加入者)となって保険料を負担します。介護が必要と認定されたときには、介護サービス費用の1割(年収によって2~3割)を自己負担して、介護サービスを利用できる仕組みとなっています。
介護サービスの費用の9割(年収によって7~8割)は介護保険の財源によって賄われています。財源の50%は被保険者の納めている介護保険料で、残りの50%は税金によって支えられています。
介護保険料の支払いが始まるのは40歳になった月からです。納付方法は65歳以上の「第一号被保険者」と、40~64歳までの「第二号被保険者」では異なります。
第一号被保険者のかたは、年金から天引きされる「特別徴収」になります。ただし、年金の額が年額18万円に満たないかたと、年度途中で65歳になったかたは「普通徴収」となり、納入書か口座振替で支払うことになります。
健康保険に加入している第二号被保険者のかたは健康保険料といっしょに給料から天引きされ、国民健康保険に加入しているかたは、世帯主が国民健康保険料に上乗せして支払います。金額は居住している自治体によって変わり、第二号被保険者の場合は、入っている健康保険によっても金額が変わります。
介護保険料は、特別な事情がないのに納めていないと、滞納した期間に応じてペナルティが課せられ、いざ介護が必要になった時に適切な介護サービスを受けにくくなるということが生じます。
介護サービスを利用するつもりはないので、保険料を払いたくないという声も聞きますが、介護保険は、医療保険と同様に社会保険の一つです。社会保険は国が行う強制加入となる社会保障制度の一つで、国民の介護の負担を社会全体で支えるという「相互扶助」の理念のもとに介護保険法で定められたものです。そのため、任意で脱退することはできないのです。いまは健康で介護は必要ないと考えているかたも、いざ介護を受けることになった時に、介護費用のすべてを全額負担することは、大変なことであり、支払うことが難しくなります。
自治体が保険料の額を決定する際には、個々の所得や課税状況が反映されています。決められた介護保険料は納付すべきですが、様々な事情でどうしても支払いが困難な場合には、早めに市区町村の介護保険担当窓口に相談してください。一定の要件に該当すれば介護保険料の減免や猶予を受けられる場合があります。
また、介護サービスを利用した時、自己負担額が定められた限度額を超えた場合は「高額介護サービス費」や「高額医療・高額介護合算療養費制度」などの負担軽減制度もありますので、ご安心いただければと思います。
本欄は、TLSC(True Life Support Center:トゥルーライフ・サポートセンター)のメンバーが交替で執筆するものです。
TLSCは、医療・福祉の専門家有志が、人類一家族の理想実現を医療・福祉分野の視点から研究し運営しています。