機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から (22)

福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から (22)local_offer

「包括」「居宅」とは?

Q 「ホウカツ」「キョタク」って何ですか?

介護保険を利用する際などによく耳にする言葉ですが、「包括(ホウカツ)」とは「地域包括支援センター」、「居宅(キョタク)」とは「居宅介護支援事業所」のことです。

近年、核家族化が進んで、家庭での介護力が弱くなりつつあり、高齢者を地域住民で見守る考え方に転換してきています。

高齢者が、住み慣れた地域で、可能な限り能力に応じた、自立した日常生活を営むことができるように、自治体がその地域の実情に応じて包括的な支援体制を作りあげています。それが地域包括ケアシステムで、その中核を担う組織が、地域包括支援センターです。

包括は概ね中学校学区に1カ所程度設置されており、介護、医療、保健、福祉の側面から高齢者を支える「総合相談窓口」です。構成員は保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーの三つの職種で、それぞれの専門性を生かし、連携しながら分担して業務を行っています。

包括の役割は、次の四つです。

第1に、高齢者が自立した生活を継続できるよう、介護予防の支援をします。

第2に、地域の相談窓口です。高齢者の困ったことに対し、必要なサービスや制度を紹介します。

第3に、高齢者の権利を守ります。高齢者虐待の防止、悪質な訪問販売等による被害の防止、成年後見人制度の活用等、様々な支援制度の利用を助言します。

第4に、地域の包括的、継続的ケアマネジメントを行います。地域全体の医療や介護分野の専門家から地域住民まで、幅広いネットワークを作り、その地域の問題の解決や調整に臨みます。

さらに、今後、国の目指す地域共生社会の実現に向けて、包括の役割は一層重要になってきています。

介護サービスを利用するときに最初に相談する窓口が、地域包括支援センターになります。離れて暮らす親の様子に不安を感じた時なども、親の居住する地域の包括に連絡してみると良いでしょう。

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次に、居宅介護支援事業所は、ケアマネージャーが常駐し、要介護認定を受けている高齢者のケアプランを作成するところです。

介護サービスには「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着サービス」の3種類があり、自宅に住みながら利用できるものが、居宅サービスです。

介護保険制度の、それまでの制度との大きな違いが、「利用者本位」という考え方です。

自治体が必要性を判断して決めていた(措置制度)サービスを、介護保険制度によって、様々な介護事業者が提供する多様なサービスの中から、利用者が自分に合ったサービスを選択し契約できるようになりました。ただ、介護サービスは種類も多く、住んでいる地域によってどのようなサービス事業者がいるかなど、初めて介護に直面するとわからないことが多いものです。

この介護サービスの選択や契約の際に、利用者の意向や状況を理解し、適切なサービスを提案し、ケアプランを作成するのが、ケアマネージャーです。不安なことは、遠慮なく頼って相談すると良いでしょう。


本欄は、TLSC(True Life Support Center:トゥルーライフ・サポートセンター)のメンバーが交替で執筆するものです。
TLSCは、医療・福祉の専門家有志が、人類一家族の理想実現を医療・福祉分野の視点から研究し運営しています。