機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から (25)

福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から (25)local_offer

多様化するデイサービスの種類

Q 父がデイサービスに行ってくれません。家族は父に介護サービスを利用してほしいのですが、どうすればいいでしょうか。

在宅介護をしている方から、要介護者がデイサービスに行ってくれなくて困っているという話をよく聞きます。

家族としては介護負担を軽くしたい、家にこもらずデイサービスで人と交流して楽しく過ごしてほしい、運動もして元気に過ごしてほしい、などの願いがあり、何とか出掛けてほしいと訴えますが、言うことを聞いてくれません。

では、本人が行きたがらない理由は何でしょうか。「そんな年寄りじゃない」とのプライドによる抵抗感や、デイサービスで「絵」を書いたり「歌」を歌ったりして、子供扱いされる所というようなイメージからの抵抗感。また、集団で過ごすのが苦手で、人に気を使わず気ままに過ごしたいなど、色々あるでしょう。

では、実際にデイサービスとはどんな所で、通うメリットは何でしょうか? デイサービスは要介護状態の方が日帰りで通い、「食事」「入浴」「リハビリ」などのサービスを受けられる場です。

そして、リハビリ特化型、認知症対応型、食事がとてもおいしい施設、少人数で自宅に居るように過ごせる施設、カラオケや将棋、囲碁、園芸等を楽しめる施設、男性(女性)が多い施設、食事や入浴はなく身体機能訓練中心の半日の施設など、その種類は年々多様化しています。スタッフにより雰囲気も様々です。

以前は、生活上のお世話をすることが介護だと考えられ、入浴や食事をして安全に過ごせたらよかったのですが、現在の介護保険では、高齢者ができるだけ自立して過ごせるよう、自宅との連携をとりながら心身の機能を維持・向上させていくことが求められており、専門的な資格を持ったスタッフが意欲を持って支援に取り組んでいます。

大切なことは、デイサービスに行く目的は何なのか、本人の目的と家族の目的をはっきりさせ、しっかり話し合い、思いが異なる場合は本人が行きたくなるような施設を一緒に探していくことです。

デイサービスを決める際は、ケアマネジャーに目的や希望を伝え、実際に何か所か見学し、可能であれば雰囲気を感じるために、一日体験も利用してみましょう。本人が躊躇している場合は、ケアマネジャーやサービススタッフなど、第三者の立場から声をかけてもらうのも有効です。利用後の変更や複数施設の利用もOK!です。

ただ、自宅に閉じこもりがちでも、自立した生活ができており、家族が困っていなければ無理強いせず、本人の役割や気持ちを尊重し、時間をかけて寄り添って話し合ってみましょう。

誰でも歳を重ね、いずれ介護を受ける側になる可能性があります。自分が介護される立場になったとして考えてみましょう。自分が動けなくなったから介護してもらうとだけ考えるのではなく、自分が望む精神的自立を重んじた生活をするために、どのような施設で、どのような介護サービスを利用したらよいかを考え、家族とも話をする機会が大切だと思います。素直な気持ちを家族で話し合えたら素敵ですね!


本欄は、TLSC(True Life Support Center:トゥルーライフ・サポートセンター)のメンバーが交替で執筆するものです。
TLSCは、医療・福祉の専門家有志が、人類一家族の理想実現を医療・福祉分野の視点から研究し運営しています。