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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(12)

チョッとためになる健康のお話(12)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

「入れ歯」で知った歯の大切さ

明けましておめでとうございます。今年が、皆さまにとって良い一年となりますようお祈りいたします。

ところで、昨年はどんな年だったでしょうか。私は生まれて初めて、「入れ歯」を入れました。私は5人兄弟の末っ子なのですが、一番父に似ていると言われました。顔もそうですが、目が悪い、鼻が悪い、歯が悪いなど、共通点が多かったのです。特に、父は総入れ歯でした。私が物心つく頃からそうだった気がします。あまり硬いものは食べられず、噛むのも大変だったようです。年を取るとこうなるのかなあと、他人事に感じていました。

事の起こりは、一昨年左奥の下の歯が、噛むと痛くなったことでした。小さい頃に虫歯になったので、神経を抜いて金属をかぶせていました。神経はないので痛くなるはずがないのですが、医師によると、神経を抜くと歯に栄養が行かなくなり、枯れ木のようになってもろくなり、膿がたまってくるそうです。これが原因でした。対処はただ一つ、抜歯です。歯は1本抜けたぐらいなら、噛むのにあまり支障がありません。ところが、半年ぐらい経つと、手前の歯も噛むと痛くなったのです。ここも神経を取っていました。そこでやはり抜歯しました。さあ、2本ないとさすがに噛みづらくなります。医師からは、インプラントか、精密な保険適用外の入れ歯を勧められました。高額だったので、保険で出来る入れ歯にしました。

医師からは食器と同じだから、毎食後洗ってくださいと言われました。最初は意味が解らなかったのですが、使ってみてわかりました。ちょうど少し大きめの長靴を履いている感じで、食べかすが入れ歯の中に少しずつ入ってくるのです。その隙間があるせいか、硬いものも噛みづらくなり、右側の歯で噛む頻度が増えました。おっつけ、右側も痛くなりますよと言われました。右側も神経を抜いているからです。ああ、こうやって入れ歯が増えるのかと、納得しました。

遅ればせながら、3カ月に1度、歯のクリーニングをしながら、虫歯がないか調べ、歯垢を取って歯周病にならないように処置してもらっています。これを小さい頃からやっていれば、虫歯になっても神経を抜いてしまうほど悪化させずに済んだはずだし、70歳になっても、80歳になっても自分の歯で何でも食べることが出来たでしょう。歯磨きの大切さもそうですが、小さい虫歯は神経まで到達しないので、痛みは感じません。痛くなってから歯医者に行くのでは遅いのです。私の住んでいた村には歯医者がなく、隣の村までバスに30分くらい乗って行かなければ治療は受けられませんでした。また、当時はクリーニングというメニューもなかったので、勧められもしませんでした。最初は小さい虫歯だったのが、治療してもきちんと歯磨きせずに放っておいたため、どんどん虫歯が大きくなり、最後は神経を抜く羽目になったのです。医師が、神経を抜くと将来こうなるよと教えてくれれば、もっと頑張って歯磨きしたかもしれませんが、今となっては後の祭りです。「無知は恐ろしい」と、還暦を過ぎて改めて思いました。

健康を保つためにも、歯は大切にしましょう。