チョッとためになる健康のお話(25)local_offer健康
健康アドバイザー 上杉和彦
「認知症は心が寂しくなって起きる」
寒中お見舞い申し上げます。
昨年の夏は猛暑日が続き、長かったですね。しかし、秋が過ぎると急に寒くなり、日本海側は雪が降って大変です。私の故郷は長野県の南部で、それほど雪は降りません。しかし、たいして積もらなくても、凍結した道路を運転するのは嫌なので、お正月は帰省しませんでした。しかし、ここ1、2年は用事ができて、帰省しています。昔の家で大きいため、居間や台所はストーブを置いて温めるので良いのですが、玄関や廊下などは寒いです。困るのは洗濯物です。外に干せば凍ってしまうし、屋内も寒い廊下だと乾きません。東京は天気が良くて暖かいので、冬でも外に出しておけばよく乾きます。徳川家康が江戸を建てて、日本の中心にしてくれたことに心から感謝します。
先月、白内障の話をしました。手術の時、麻酔をかけなかったと書きましたが、実は点眼液に麻酔薬が入っていて、何度も点眼してから手術をしました。不正確な記述をしてしまい、申し訳ありませんでした。
今月は認知症です。65歳以上で7人に1人、85歳以上で男性は3人に1人、女性は2人に1人がなると言われています。がんにかかる比率と似ていますが、医療費を考えると、がんの5倍かかるそうです。それは治療期間が長く、手間がかかるからです。特に女性に多いのは、平均寿命が男性より長いことと、閉経後、女性ホルモンが低下することが原因ではないかと言われています。長生きをすればするほど、がんと認知症にかかりやすくなるということです。「健康長寿」は簡単ではありませんね。
最近、「ボケからのカムバック」という本を見つけました。著者は、静岡で「高齢者リフレッシュセンター・スリーA」を経営している方です。認知症は治らないと言われていますが、早い段階であれば治るし、進行を遅らせることができると言います。認知症の多くはアルツハイマー型で、脳内にアミロイドβという物質が蓄積してなると言われています。がんと同じで特効薬はありません。
「スリーA」という名前は、「明るく・頭を使って・あきらめない」のアルファベットの頭文字を当てています。3か月間、月曜から金曜まで宿泊して、脳を活性化する訓練を受けます。土曜と日曜は家に帰ります。「認知症は心が寂しくなって起きる」と言います。筋肉は使わないと「廃用性萎縮」と言って細くなっていきますが、脳も「非働性萎縮」と言って、生きる気力がなくなったり、楽しくなかったり、寂しかったり、ぼんやりして頭を使わないでいると、脳の萎縮が起こってくるそうです。これがアルツハイマー型の原因の一つではないかというのです。もう一つの脳血管型は、脳梗塞や脳内出血によって脳細胞に血液が行かなくなって起きます。高齢者が降圧剤で必要以上に血圧を下げると、必要な血液が脳細胞に行かなくなって認知症になるのと同じメカニズムです。
「スリーA」では、みんなで楽しいことや好きなことをします。物を忘れても、同じことを何回聞いても、怒られずに褒めてくれます。自分はもうダメだと傷ついていた人が、心を癒され、自信を持つようになります。「希望」が特効薬ということでしょうか。