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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(8)

チョッとためになる健康のお話(8)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

3大栄養素は体内で変換できる

季節の移ろいは目で感じることもできますが、耳で感じることもできます。7月頃から虫が鳴き始め、8月はミンミン蝉の大合唱。わずか7日間の命を一生懸命燃やしていると思うと、憐れみを感じます。ただ、大阪に出張した時に聞いたクマ蝉は、やかましく暑苦しい鳴き声で、憐れみは感じませんでした。私は、長野県の山間部で育ちましたので、お盆が過ぎると、夏の終わりを感じました。ススキが穂を出し、朝晩の風が涼しくなって、学校のプールも終わります。そして、夕暮れになると「カナカナカナ」というヒグラシが鳴き、赤とんぼが飛び始めます。秋の夜長は鈴虫やコオロギが音楽を奏でてくれます。そして、寒くなる10月にはピタッと消えてしまいます。

猛暑も終わり、暑さが和らいでくるとホッとします。それまで暑さと闘ってきた緊張がゆるむ感じです。これで楽になると思うのですが、実は秋になると夏の疲れがドッと出て、病気が重くなったり、新たに発症する人が増えます。少しずつであっても疲れの蓄積は、免疫を下げているのです。1年の中でも「夏」は特に気をつけましょう。

皆さん3大栄養素はご存じでしょうか。糖質、タンパク質、脂質の3つです。動物は歯を見ると、何を食べるのが適しているかわかると言われています。草食動物は臼歯が多く、木の実や草をすりつぶして食べるのに適しています。肉食動物は犬歯が発達していて、肉を切り裂いて飲み込むのに適しています。人間の歯は、草食にも肉食にも適しているので雑食動物と言われています。

葉物野菜や果物は糖質と水分がほとんどで、タンパク質と脂質はわずかしかありません。主食となる米、小麦、豆、芋、トウモロコシは糖質が主ですが、タンパク質と脂質も含まれています。肉、魚には糖質はほとんどなく、タンパク質と脂質で占められています。

筋肉は何で出来ているかというとタンパク質です。ところが筋骨隆々の牛や馬は、青草や干し草を食べ、肉を食べているわけではありません。糖質、タンパク質、脂質は体内で自由に変換することが出来るのです。お坊さんが食べる精進料理には、肉や魚は入りません。タンパク源は、豆腐、豆、味噌、胡麻ぐらいです。それでも修行僧たちは筋骨隆々です。

ダイエットのためにカロリー制限をすると、血中の糖分が減ってきます。すると、糖質を唯一の栄養源にしている脳は、ブドウ糖を補給するために空腹中枢を刺激するホルモンを分泌します。そうすると、肝臓は蓄えているグリコーゲンを分解して、ブドウ糖を血中に放出します。それでも足りない場合は、脂肪細胞に蓄えている脂肪酸を分解して、ブドウ糖を放出します。それでも足りない場合は、筋肉中のたんぱく質を分解して、ブドウ糖を放出します。

食品の中で主な糖質は、穀物、野菜、果物です。これをどのように食べるかが健康の鍵を握っています。また、餅、煎餅、パン、クッキー、ケーキなど、穀物を加工した嗜好品の食べ方も重要です。そこで、問題となるのがGI値(グリセミック・インデックス)という言葉です。次号では糖質の健康的な摂り方をご紹介します。