機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」人生を豊かにする金言名句(45)

人生を豊かにする金言名句(45)local_offer

ジャーナリスト 岩田 均

雨降って地固まる

日常生活の中で、使う機会が結構多い名句だと思います。

辞書で正確な意味を調べてみました。「もめ事が起こると、それを解決するために議論をしたりして、互いの気持ちを理解し、かえって良い状態になること」(東洋出版『日本のことわざを心に刻む』)。これは何度も経験があります。”もめ事あるある”ですね。念のため、別の引用も。「揉め事の試練はあとでよい結果をもたらしてくれるということ」(大修館書店『明鏡ことわざ成句使い方辞典』)。こういう時に使って間違いないようです。

今年3月までの1年間、地元の町内会で班長を務めていました(任期は1年)。最も神経を使ったのは「集金」でした。おカネの扱いは、たとえ1円でも間違いがあったら大変です。社会的な信用がかかっているので、金額の問題ではありません。実際にいくつかの”事件”を経験しました。結果はことわざの通りとなり、不安の後に親近感がやってきて、とても幸せになりました。

町内会では毎月、専用の「集金袋」を配布します。そこに決まった額を入れて、

戻してもらいます。ところが、返って来ないケース(提出しない家庭)が何件かありました。

「集金は毎月なんですか」

「足が悪い。袋を持って行けません」

思いがけない声を聞くことになったのです。ある時、”問題”の人としっかり向き合おうと思い、訪問して「これからどうしましょうか」と相談してみました。すると、あっさり解決策が見つかり、袋を出さなかったことに悪意は全くないことも分かりました。そうなると、「何かあったら、また相談しましょう」とぐっと心情的に近くなったのです。

「袋」を間違って別の家に入れたこともありました。謝罪の気持ちを抱いて訪問すると、怒っている様子は全くなく、気さくに応対してくれたことも。こういう時に味わう気持ちというのは、安堵感を超えて、住んでいる地域に”自分の血が通った”とでも言ったら良いのでしょうか、そんな感じです。「雨降って地固まる」って、いい言葉です。