チョッとためになる健康のお話(29)local_offer健康
健康アドバイザー 上杉和彦
難聴者との話し方
雨が多くなってきました。冬は、雪がたくさん降って道路が寸断されることがあります。しかし、だいたい雪が降るところは決まっていて、降らないところはまったく降りません。東京でレンタカーを借りて降雪地に行く時は、必ずスタッドレスタイヤを履かなくてはなりません。その車を探すのにとても苦労します。
しかし、冬から春、そして夏に変わっていくと雨の日が多くなり、それはほぼ全国的な傾向となります。北海道には梅雨がないと言われるのは緯度の関係です。冷たく湿ったオホーツク海気団と暖かく湿った小笠原気団がせめぎ合って雲を作り、雨を降らせるのが梅雨前線です。沖縄から始まる梅雨前線が、だんだん北上して北海道に来るころには、オホーツク海気団が弱まり、勢力を増した小笠原気団とのせめぎ合いがなくなって、前線が消えてしまうのです。地軸が傾いているため、太陽の光の当たり方が季節と共に変わり、それに合わせて気象も変わる、自然の奥妙さに感心させられます。
前号の続きです。高齢になればなるほど聴力が衰え、会話で辛い思いをします。話しかけられてもよく聞き取れないまま、分かったふりをしてその場をやり過ごしたり、何度も聞き返すのが申し訳なくて、曖昧な笑みを浮かべてごまかしたりするしかないこともしばしばです。勇気を出して補聴器外来に行き、アドバイスを受けながら自分に最も合った器具を見つけることが大事です。しかし、難聴の方と接する側でできることはないのかというと、いろいろあります。下記のことを試してみてください。
- 話しかける前に肩をたたくなどの合図をする。何気なく話すのではなく、きちんと聞く心構えをしてもらってから話す。
- 相手の顔が見える位置、自分の口元が相手に見えるような位置から話す。相手の口の動きや表情を見て、会話の理解を深める「読話法」を活用する。
- 大声を出さない。難聴の方は小さな音が聞きとれないだけでなく、大きすぎる音も響いて聞き取れません。聞き取りやすい音の幅が狭くなるのです。補聴器をつけてもうまく聞き取れない理由の一つでもあります。
- 相手が最も聞き取りやすい音量で、ゆっくりはっきり話す。離れている時は、遠くから怒鳴るのではなく、近づいて普通の声か、やや大きめの声で話す。口の形を相手に見せるつもりで話すと、ゆっくりはっきりした話し方になります。
- 周囲の雑音をできる限り小さくするよう工夫する。テレビがついていたり、台所で水道の水を出していると、その音が邪魔をして会話を聞き取れなくなってしまいます。
- ジェスチャーをつける。手話でなくても、身ぶりや手ぶりなどをつけて話すことによって、相手の理解を助けることができます。
- 大事なことは書いて確認する。聞き間違えやすい固有名詞や日時は、メモに書いて渡すと、「言った、言わない」のトラブルを防ぐことができます。
今回は3回にわたって書きました。見えないことも不安ですが、聞こえないことの方が孤独を感じます。コミュニケーションが取れなくなるからです。耳を大切にしましょう。