チョッとためになる健康のお話(30)local_offer健康
健康アドバイザー 上杉和彦
肯定的イメージを持って寝る
気温が上がると汗が出ますが、汗が気化する時、体から熱を奪うので、体温が下がります。夏の快適な湿度は、40~60%だと言われています。そのぐらいの湿度であれば、気温が高くても、汗がどんどん気化するので、体温が上がりにくいのです。ところが湿度が65%を超えると、気温がそれほど高くなくても、体温が上がって熱中症を起こす可能性があります。梅雨時は空気中の水分が多くなるため、汗をかいてもあまり蒸発しません。しっかり水分を補給して、熱中症にならないように気をつけましょう。
大リーグで活躍中の大谷翔平選手が、睡眠時間を10時間以上取っているという話は有名です。また、将棋界のエース、藤井聡太七冠も7~8時間以上の睡眠を取っています。睡眠は肉体や神経の疲労を回復させるだけではなく、勉強やトレーニングの時間を削っても良いと思えるほどの価値を生み出しています。
睡眠には三つの種類があります。一つは「レム睡眠」。これは眠っているのに、眼球が素早く動いていて(Rapid Eye Movement)、脳が活動している状態の睡眠です。もう一つは「深いノンレム睡眠」。眼球が動いておらず(non-REM)、脳が休んでいる状態の睡眠です。三つ目は「浅いノンレム睡眠」。脳が少し活動している状態の睡眠です。ひと晩のうちに、この三つの状態を何回も行ったり来たりしながら眠っています。
寝入るとすぐ「深いノンレム睡眠」に入ります。すると成長ホルモンが分泌されて、細胞の強化や修復が進みます。「寝る子は育つ」という状態です。一方「レム睡眠」になると、脳が活発に働いて、日中に覚えた言葉や話などの記憶を定着させます。さらに「浅いレム睡眠」になると、運動の動作や細かい作業など体が覚えた記憶を定着させます。つまり、「寝る子はできる」となるのです。
しかし、ここには「出力は入力以上に大きくならない」という法則があります。「三年寝太郎」のように、寝てばかりいてもできるわけではありません。目いっぱい勉強にスポーツに投入してから寝ると、寝ている間も脳は働いてくれてできるようになるのです。大谷選手がどんなに忙しくても睡眠時間を確保しようとするのは、寝ている間も運動神経は練習していて、翌日はもっとうまくなるからです。
この時、さらに重要なポイントがあります。それは、「自分はできる」という肯定的なイメージを持って眠ることです。私たちが夢を見るのは「レム睡眠」の時です。「自分はできる」というイメージを持って眠っていると、そのうち「できる夢」を見るようになります。すると本当にできるようになるのです。大谷選手や藤井七冠はそういう法則をうまく活用しているのです。
反対に、睡眠には要らない情報や嫌な記憶を固定しない、忘れるという機能も備わっています。どんなに辛いことや悲しいことがあっても、眠ればある程度リセットされます。これも睡眠のありがたい効果です。また、どんなに決意してもひと晩眠ると、決意はゼロになります。ですから、毎日同じことを繰り返さなければ、気力を維持することができません。
大谷選手は、睡眠は質より量だと言います。しかし、質も大事なので寝具メーカーとサポート契約を結んで、ベストな寝具を備えています。続きは次号にて。