機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」人生を豊かにする金言名句(50)

人生を豊かにする金言名句(50)local_offer

ジャーナリスト 岩田 均

(自然の保全で重要なのは)自然の実力以上に酷使しないこと

今夏は暑い日が続きました。そんな中で、生き生きとした木々や葉を見ると、まるで励ましてくれているようでした。

ドイツには、「緑」そのものを意味する「グリュン」という政党があります(英語で言えば「グリーン」です)。自然保護・保全に敏感なお国柄を反映して、一定の支持率を得ています。ですが、どの国の人であれ、自然を大切にしたいという思いは共通でしょう。ただ、保護のための具体策や各論になった時、共通だったはずの総意は有名無実化してしまい、実際、地球星の環境破壊には歯止めがかかっていません。

森林生態学の研究者の一人に、只木良也さん(1933年生まれ)という方がいます。京都府立林業大学校の初代校長で、今は名誉校長です。著書の中で、「『自然保護』とは、『禁伐』『生物を取らないこと』『自然をあるがままにして手を入れないこと』という理解をしている人が多い」(丸善出版『続 ことわざの生態学』)と日本人が持つ誤解について指摘しています。

では、自然保護とは何でしょうか? 只木さんによれば、保存、保全、防護、修復、維持という5つの概念が含まれるといいます。「そのまま」は、保存だけを指します。ですが、他にも大切な要素があるよ、と。特に、保全という考え方です。「資源などの価値を人間生活にも持続的に利用できるよう管理すること」だと説明し、その際に留意することとしては「自然の実力(許容できる力という意味でしょうか)」を超えてはならないと諭しています。

知人の中で、こう話す人がいます。「自然と言っても、人の手が入った場所、人工の自然が好きだな」と。公園と名の付く場所や里山などがそれでしょうか。これらは、「自然の実力」を形にしたものといえそうですね。

森林の大量伐採などは論外ですが、例えば、「間伐」については理解が広がってきていると思います。そもそも、人間の英知として計画的に実施していた時代があったのに、いつしか怠るようになり、その結果、「酷使」に至ってしまいました。自然保護の視点を見直しつつ、自然との共存を考えていきたいと思います。