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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(35)

チョッとためになる健康のお話(35)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

毛は健康のバロメーター

だんだん日が短くなってきました。今年の冬至は12月22日です。この日は一番昼間が短いのですが、日没が一番早いわけではありません。東京では、11月末から12月10日頃が一番早く、午後4時半頃です。それ以降は徐々に遅くなっていきます。逆に日の出が一番遅いのは1月初めから10日前後で、午前6時50分頃となります。寒さのピークは冬至の1カ月後です。

寒くなると首、耳、手、そして頭が冷えます。私は冬でもマフラーをしません。電車やビルに入ると暖房が効いているので、マフラーがいらなくなり、荷物になってしまうからです。それが面倒なので、首元まで締まるコートやジャンパーを着るようにしています。要は冷たい風が首元から中に入って来なければよいのです。先月もご紹介しましたが、毛は熱伝導率が極めて低いので、外気を遮断する効果があります。しかし、年齢と共に細くなったり、抜けたりするので頭が寒くなります。私も毛が減って、生え際が後退してきました。頭頂は自分では見られませんが、妻から「だんだん寂しくなってきた」と言われています。

毛は毛包と毛幹(いわゆる毛)でできています。毛包は皮膚の中にあって活発に細胞分裂を起こしています。血液を通して十分な栄養が供給されないと良い細胞が作れないので、毛は健康のバロメーターとも言われています。毛の93%はたんぱく質でできているため、ダイエットなどをしてたんぱく質が不足するときれいな毛になりません。

毛には血管も神経もなく、細胞は死んでいるため、切っても曲げても痛くありません。また、血液中の成分が取り込まれた細胞が毛の中に順番に残っていくため、毛の成分を調べると薬や毒素をいつ摂取したかもわかります。がんになった方の毛を調べるとヒ素と水銀が多く検出されます。がん細胞は、細胞分裂が激しく、倍々で増えていきます。そのため、抗がん剤は細胞分裂が激しい細胞を攻撃するように作られています。その結果、細胞分裂が激しい骨髄と腸と毛包はダメージを受け、免疫低下と吐き気と脱毛が生じるのです。

頭髪のサイクルは2年から6年と言われています。1カ月に1.3センチほど伸びるので、髪を切らなければ30から90センチまで伸びます。成長が止まると、やがて毛が抜けます。1日平均50~100本抜けると言われています。しばらくすると毛包が活動を始め、毛を作り始めます。このサイクルが正常に回っていれば、毛が少なくなってはげることはありません。歳を取れば新陳代謝が落ちるので、免疫が下がったり、機能が低下するのはやむを得ないことです。

しかし、30~40代で髪が少なくなる現象が起きることがあります。その原因は遺伝と男性ホルモンの量です。私の義父ははげていましたが、義理のお兄さんたちは大丈夫でした。もしかしたら私の子供や甥っ子ではげる人が出てくるかもしれません。女性ではげる人が少ないのは、男性ホルモンが少ないせいです。男性ホルモンが少ないと頭髪が増え、体毛が少なくなります。前立腺がんは男性ホルモンが多いと増殖が早まります。そのため、男性ホルモンを抑制する薬剤を投与して増殖を抑えます。すると、胸が膨らみ、筋肉が減少し、体毛が少なくなります。毛と性ホルモンは密接に関わっているのです。この続きは次号にて。