人生を豊かにする金言名句(54)local_offer金言名句
ジャーナリスト 岩田 均
大切にしているのは「答え」よりも「応え」ていくこと
図書館で本の貸し出し予約をしたら、意外に早く順番が回ってきました。それは『図書館のゆるゆる人生質問箱』(2025年4月刊)という一冊で、著者は北海道斜里町立図書館の職員です。この町は知床半島の北側に位置しています。ユニークな内容の本なので、同書の一部を引用しながら紹介していきます。
この図書館では、「中高生の図書館離れを食い止めるため」に、ある工夫をしました。専用の箱を設置して、「普段考えている『人に相談するほどでもない悩みや疑問、不安』を紙面に書いて投函」してもらうようにしたのです。投函できるのは「匿名の中高生」に限られていますが、小学生も投函しているようです。
その質問に対して図書館職員が返事を書いて、後日掲示板に貼り出します。それは「YAコミュ板」と命名されました。YAは「ヤングアダルト」の略です。職員の回答は楽しく軽やか、時に真面目に。感心することしきりでした。
例えば、ある12歳の質問。「外国に留学してみたいけど、英語が話せるか不安です」。回答(一部引用)は「『できるようになってからしゃべります』というのは、『泳げるようになってからプールに入ります』と言っているようなものです」と。分かりやすい説明だと思いました。
別の質問。「彼女が欲しいです。できれば目がパッチリしていて、足が長くて小顔でスタイルが良くてツンデレがいいです」。回答にはイラストもありました。それはカマキリのメス! なるほど、希望する外形に全て合致! そして、「(メスは)オスを食べるそうです。ある意味ツンデレ」との解説も。博学ですね。
YAコミュ板の設置は23年夏。それ以降、1年5カ月で約500通の質問が寄せられたそうです。「厳選」された120の問答がこの本になりました。今回の名句は同書の「あとがき」にあり、「応え」る姿勢が大切というのは同感でした。大人になると、何でも知っているふうを装って、つい「解答」を言いたくなるものです。ですが、そんな上から目線ではなく、同じ高さから「応え」ているのが、何とも言えず、ほのぼの感を与えてくれます。斜里町立図書館は上手に、子供の思いに「共感していく場」をつくったなあと思い、心が温まりました。
