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家庭問題トータルカウンセラー 松本 雄司

高齢者もスマホを活用しよう

スマホ音痴の私より、もっと上がいた

今回の話は若い人にとっては笑い話です。親御さんを思い出して聞いてください。

3月のある日、中学時代の友人から「久しぶりに大分に行くので、会いたい」ということでした。私は「ああ、もちろん!」と快諾しました。

彼は中学時代の無二の親友で、部活のブラスバンドも一緒にやり、山に海に出かけては、人生の悩みから将来のことまで何でも本音で話し合った仲でした。

当日はファミレスで夕食を取りながら、昔の思い出、家族のこと、今の心境などを存分に話せて嬉しい出会いになりましたが、一つだけ気になることがありました。別れ際に、私が「たまには話したいから、携帯電話の番号を教えて」と言うと、「僕はスマホは持っていないよ」と言うのです。

「エッ、今どき? それじゃあ、不便だろう!」と言うと、「使い方もよく分からないし、面倒くさいよ」というので本当に驚いて、「スマホ音痴の私より、もっと上がいたなあ!」と言って二人で大笑いしてしまいました。

高齢者もスマホを持ったほうが良い

彼がスマホを持たないのには何か特別な理由でもあるのかと思いましたが、そうでもないらしく、要するに、「使い方が分からない。人に聞くのも面倒だ」ということらしいのです。しかし、家族や周囲の人たちは不便に思っているかもしれません。

「まだ奥さんが元気で近くにいるからいいけれど、万が一の時には連絡が取れないと命取りになるよ。ほかにも役に立つ機能がたくさんあるから、ぜひ持った方がいいよ」と忠告はしたものの、ハテ、どうなるかは分かりません。

彼の場合は極端な例かもしれませんが、70歳以上の世代には、苦手意識が先立って、スマホを活用していない人も少なくありません。

高齢になり一人で暮らすことも多い中、孤立しないためにも、緊急の場合にも、頭と体を動かして元気に生きるためにも、スマホは活用したほうが良いと思います。

スマホはまるで”魔法の手箱”

笑われそうですが、実は、私もメカは苦手でパソコンもワードしか使えません。

スマホは持っていても分からないことだらけ。とても「使いこなせている」とは言えません。ただ、生活と仕事上の必要に迫られて、少しずつ覚えてきただけです。

最初は電話機能だけ。次に、遠くで暮らしている子供たちと連絡を取るためにラインを使うようになりました。そして、仕事で各地を訪ねるのでカーナビが必要でしたが、今ではグーグルの地図検索とナビのおかげで大助かりです。

また、写真を撮るのが好きなのでいつもカメラを持参していましたが、今ではスマホのカメラで充分。孫の入学式や運動会では動画も取れるので実に便利です。

スマホは”賢い秘書”です。音声で呼びかけるだけで何でも教えてくれます。私は風邪をひきやすいので、毎朝、「大分市の天気」と呼びかけて、天気情報を見て服装を決めます。また、「今日のニュース」と言えば即座に見られますし、買い物で商品説明の文字が小さくて読めない時は、カシャッと写真を撮って指で拡大するとよく読めます。

”千里の道も一歩から”…スマホ習得も同じ

それでも、今の私はまだ知らないことだらけです。いつも行き詰まって、娘に聞いては、「またぁ? この前教えたよ!」と言ってしかられながらの悲しきジイジです。

でも、使いながら、一つずつできることを増やしていけばよいと思っています。

「スマホは苦手!」と思っているご高齢の皆様! とにかく使い始めてみましょう!

スマホの使い方は子供や若い人に教えてもらうのが近道ですが、適当な人が身近にいない場合には、いくつか良い方法があります。

  1. スマホを買ったお店で行われている初心者のための講習を受ける。
  2. 公民館などで行われている初心者・高齢者向けのスマホ教室に行く。
  3. スマホの扱い方を教えてくれるガイドブックを読む。

講習会に行く暇もない方は、書店に行くと初心者向けの解説本がたくさんあります。

最近私が手に入れて読んでいるのは、『世界一簡単! 70歳からのスマホの使いこなし術』(増田由紀著、株式会社アスコム発行)という本です。

著者の増田由紀さんは、これまで1万5000人を超えるシニア世代の方々にスマホの使い方と魅力を教えてきた”スマホ活用アドバイザー”で、他の本よりも易しく分かりやすく書いてくれています。

私のようなメカ音痴の者でも一つずつ覚えていくと、予想以上に便利で楽しい生活が開けてきたので、今からでもぜひ挑戦してみてください。ただ、買い物や動画視聴をするときは、各種詐欺に注意が必要なので詳しい人に相談しましょう。

うまく使えば、人や社会との交流が広がり、孤独から救われ、生活の知恵が増え、仕事にも役立ち、より充実した人生を送れるのではないかと思います。