機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョっとためになる健康のお話(38)

チョっとためになる健康のお話(38)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

「小さな便り」が届く仕組み

今年の冬は雪が多くて大変です。このごろ「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」という言葉をよく聞くようになりました。冬の日本海で発生する、長さ1000kmに及ぶ雪雲の列(収束帯)のことです。この収束帯が上陸すると、短時間に局地的なドカ雪を降らせるそうです。何時間も豪雨を降らせる「線状降水帯」と同じような感じでしょうか。雪下ろしや雪かきをしないと、家がつぶれたり、車を出せなくなったり、道路が使えなくなってしまうので、毎日大変な重労働を強いられます。そのために死傷者も出るわけですから、まさに命がけ。雪国の皆様、どうかご自愛ください。

今回は腎臓と膀胱のお話です。「肝心要」とは、「一丁目一番地」と同じように、最も大事なことを意味する言葉です。「肝腎要」と書く場合もあります。肝臓はたんぱく質の合成と栄養の貯蔵、有害物質の解毒、消化に必要な胆汁も作っています。そして、腎臓は1日150ℓの血液を濾過して、不要となった「尿」を膀胱に送っています。その量は約1500mlです。大便は大きな便りと書き、小便は小さな便りと書くように、尿の成分を調べると健康状態が手に取るようにわかります。

高齢になるとおしっこが近くなります。それは膀胱が硬くなるからです。膀胱はゴムのように柔らかく500mlぐらい入ります。そして、200mlぐらいたまってくると、だんだん尿意を感じるようになるのです。交感神経が働くと膀胱は膨張し、出口の筋肉がギュッと締まって出ないようにします。副交感神経が働くと膀胱は収縮して出口の筋肉が緩み、尿道に出そうとします。そして、この二つの自律神経は自分の意志では制御できません。でも、我慢できるのは、尿道をギュッと締める別の筋肉が自分の意志で制御できるからです。年齢と共に血管が硬くなるのは、血管を作っている筋肉が硬くなるからです。その現象は体中に起きています。膀胱も筋肉でできているので、ゴムが古くなると伸び縮みしなくなるように、ちょっとたまっただけで尿意を感じ、トイレに行きたくなります。しかし、残念なことにチョロチョロ出るだけで、切れも良くありません。

尿は腎臓で24時間作られています。寝ている時も昼間と同じように膀胱にたまってきます。しかし、6時間から8時間トイレに行かなくても平気です。それは「バソプレシン」というホルモンが分泌されて、腎臓から排泄する水分を再吸収させ、尿の量を少なくしているからです。朝一番の尿の色が濃いのはそのためです。ところが、年齢と共に「バソプレシン」の分泌は少なくなってきます。そのため、夜中に2回も3回も起きて排尿しなければなりません。これを「夜間頻尿」と言います。40~50代になると5割の方が夜中に1回起きるようになり、60代を超えると、実に8割の方が起きるようになります。年を取ると眠りが浅くなり、尿意を感じやすくなることも原因の一つです。

膀胱が硬くなると尿道を締める筋肉が弱くなります。特に出産を経験した女性は加齢とともに筋肉が弱くなるので、お腹に力を入れたり、笑ったりした時に尿が漏れやすくなるのです。「尿失禁」は、男女を問わず40代で12%、70代以上は20%の方が経験しています。尿は出過ぎるのも大変ですが、出ない方がもっと大変です。この続きは次回にて。