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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」チョッとためになる健康のお話(26)

チョッとためになる健康のお話(26)local_offer

健康アドバイザー 上杉和彦

感情は健康に大きな影響を与える

今年の冬は暖かいかと思いきや、経験したことのない大雪に見舞われる地域もあり、厳しいものとなりました。雪の重さは、湿っている場合、1立方メートル当たり300㎏以上になることもあるそうです。ですから、屋根の雪下ろしを定期的に行わないと家がつぶれてしまう可能性があるので、雪国の家の屋根にはだいたいはしごが付いていて、2階から上がれるようになっています。高齢化が進む現在、除雪作業は地域の深刻な課題です。

除雪のニュースを見ていたら、屋根の雪下ろしや、駐車場、玄関から道路までの除雪に5時間もかかったという人が筋肉痛になって、整体やマッサージを受けに来ていました。この時期は患者さんが増えているそうです。日ごろ使わない筋肉を急に動かすと、オーバーヒートになり、筋肉や神経が炎症を起こします。野球でもピッチャーが球数を多く投げた時には、肩や腕を冷やして炎症を抑え、けがをしないようにしています。

神経には中枢神経と末梢神経があり、末梢神経には運動神経と自律神経があります。自律神経は車の自動運転と似ていて、乗っている人が目的地を指示すれば勝手に道を探し、渋滞や事故で混んでいれば迂回し、最速でしかも安全に連れて行ってくれます。呼吸、血圧、体温、心拍、消化、排泄などは、人間の意志とは関係なく、DNAに情報がインプットされ、しっかりコントロールされているのです。車の自動運転も今はまだまだですが、10年ぐらい先には乗れるようになることでしょう。

先日、「はたらく細胞」という映画を見てきました。なんと、小学生くらいの子供を連れたお母さんたちがたくさん見に来ていました。きっと教育に役立つと思ったからでしょう。

主人公は永野芽郁(めい)が演じる赤血球と、佐藤健が演じる白血球でした。血液が赤く鉄臭いのは、赤血球の数が一番多いためです。赤血球は肺で酸素を受け取って、体中の細胞に届け、二酸化炭素を回収して肺に渡すという作業を繰り返しています。映画の主人公の赤血球は、物覚えが悪くて、他の赤血球の足手まといになっていたのですが、だんだん学習して、迷わずに行けるようになります。120日、24時間働き続けて、最後はクッパー細胞に食べられて、また再利用されるのです。

白血球は軍隊と同じで、体外から侵入してくる菌やウイルスを見つけて殺します。手に負えないとわかると、ヘルパーT細胞に無線(?)で報告して援護を依頼。するとヘルパーT細胞が、近くにいるキラーT細胞やNK細胞に無線(?)で指示を出して、助っ人に行かせます。一つ一つの細胞にコンピューターが入っているかのようです。血小板は小さい幼稚園児ぐらいの子供たちが演じていました。動きは遅いのですが、血管や皮膚の壁が切れたり、穴が開くと集まってきて凝固因子とフィブリンを分泌して膜を作り、出血を止め、細菌の侵入を防ぎます。これが「かさぶた」です。

この映画には人間の主人公も出てきます。阿部サダヲが演じる漆崎茂と、芦田愛菜が演じる娘日胡(にこ)です。日胡が高校の先輩に恋をして、初デートをします。すると、アドレナリンが出まくって、司令塔のヘルパーT細胞さえも制御不能となります。良くも悪くも感情が健康に大きな影響を与えていることがわかる映画でした。