機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」人生を豊かにする金言名句(53)

人生を豊かにする金言名句(53)local_offer

ジャーナリスト 岩田 均

寛(かん)にして栗(りつ)

ある雑誌を読んでいたら、この句が目に留まりました。非寛容なことはいけないという話の流れで出てきたのですが、「りつ」は、秋の味「くり」の字ですね。こんな”発見”をすると、つい調べたくなります。

手元にある辞書で探してみました。ところが、どの辞書にも見当たりません。インターネットだと、あっけなくヒット。その中から、PHP人材開発のホームページを紹介させてもらいます。この内容も引用(山本七平著『[新版]指導者の帝王学』から)だと断ってありました。

古代中国の伝説上の人物が「徳」を説いた内容でした。舜(しゅん:これも伝説の時代の帝王)の臣である皐陶(こうよう)が「九徳」を帝王の前で説きました。「寛にして栗」はその最初。意味は「寛大だが締まりがある」です。その他、「柔(じゅう)にして立(りつ)」(柔和だが事が処理できる)など、「徳」は全部で九つです。

ところで、食べる「栗」は、モンブランケーキや栗ご飯などでなじみがあります。「りつ」と読むのですが、「おごそか」「きびしい」「さむい」(いずれも『旺文社 漢和辞典[第五版]』)という意味がありました。寛容でありつつ締まりがあって厳か、それが「徳」の一つだというわけです。

普段出合わない含蓄のある言葉は、筆者もいろいろな人との会話、講演、原稿などの中で”発見”してきました。印象的なのは、政界に関係する人が使う表現。少し時代がかっていますが、当時はまだ昭和の香りがしっかりとありました。例えばインタビューの時、初耳の言葉というのは聞いても文字が浮かんできません。「怪気炎(かいきえん)を上げる」「鼎(かなえ)の軽重(けいちょう)を問う」「捲土重来(けんどじゅうらい)を期す」などがそれらです。

PHPホームページには「不徳」の記述もありました。「こせこせうるさいくせに締まりがない」。これは、今回の名句を逆にした言い方。こんな徳のないリーダーはごめん被りたいもの。「人徳」「人望」のある人になる努力が大切ですね。