機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」愛の知恵袋 206

愛の知恵袋 206local_offer

家庭問題トータルカウンセラー 松本 雄司

家族の愛こそ永遠の宝

『銀も 金も玉も 何せむに まされる宝 子にしかめやも』(山上憶良 万葉集・巻5-803)

新年あけましておめでとうございます。今年が皆様とご家族にとって、どうぞ良い年になりますように、心からお祈り申し上げます。

晩年の一人暮らしの悲哀

少し前のことですが、ある70代の男性がしみじみと話をしてくれました。「自分の人生もそう長くないと感じています。私は若い時から使命感に燃えて、仕事第一で突っ走ってきました。その結果、仕事では成功し、それなりの社会的評価も得ることができました。しかし、70歳を過ぎて、ふとわれに返ると、妻と別れ子供とは疎遠になって、”一人ぼっちの自分”に気が付きました。体力と気力が日に日に衰えていくのを感じながら、一体自分の人生は何だったのか…と虚しさを感じ、家族のいない生活に底知れぬ寂しさと不安を感じています。今、振り返ってみると、もっと家庭を大事にして、妻や子供と本気で向きあってくるべきだったと思います」

日本の一人暮らし世帯数の実状

2025年7月に公表された厚生労働省の「2024年(令和6)国民生活基礎調査の概況」によると、全国の世帯総数は5482万5千世帯。そのうち単身世帯が34.6%、夫婦のみ世帯は24.7%。つまり、6割が一人かまたは夫婦二人きりで暮らしています。

また、65歳以上の高齢者のいる世帯は2760万4千世帯で全世帯の50.3%でした。

その中で、単独世帯は32.7%、夫婦のみ世帯が31.8%、親と未婚の子だけの世帯が20.4%を占めています。

さらに、「高齢者のいる世帯」の内訳の推移をみると、「単独世帯」は1989年(平成元)には13.1%でしたが、2024年 (令和6)には32.7%に増加しています。

一方、「三世代世帯」は平成元年には40.7%あったものが、令和6年には6.3%に激減しています。このままでは三世代同居世帯が消滅しかねない状況です。

今や、日本でも”家族”の文化伝統が消滅の危機にあります。私たちの幸せのためにも、そして日本の将来の繁栄のためにも、今こそ、行き過ぎた個人主義を反省し、家族文化の素晴らしさと必要性を訴える国民的運動が必要だと思います。

”おひとり様主義”の行きつく先

日本をはじめ先進諸国は、個人主義の蔓延によって、非婚、晩婚、少子化が加速しました。さらに、家族関係が希薄になって一人暮らし世帯が増え、”家族喪失”という深刻な課題に直面しています。

どんなに裕福で自由で好き勝手に生きられても、「そこに愛はあるのか?」「そこに本当の幸せはあるのか?」…という根本的な疑問にぶつかります。

ジェンダーフリー思想、LGBTの権利拡大や夫婦別姓運動の行き着く先はどんな社会でしょうか? それは何千年にもわたって築かれてきた家族文化や地域協力文化が消滅した”孤独なおひとり様社会”なのではないでしょうか? そんな危惧を感じてなりません。

人間愛も自然愛も人類愛も、根源は家族愛によって育まれます。”家庭は愛を学ぶ学校”なのです。夫婦の愛、親子の愛、兄弟姉妹の愛、祖父母と孫の愛…そこから情緒豊かで聡明な人物が育ってきます。

理想の家庭は、やっぱり三世代同居!

私も今は娘の家族と同居しています。孫たちがいると賑やかなのは良いのですが、家の中が散らかり放題。それに一人暮らしの時よりも、家事もゴミも生活費も2倍以上になるので大変です。時々、「一人になりたい…」という衝動にも駆られますが、それでもやはり、子供や孫と一緒に暮らせる幸せのほうがはるかに大きいと感じます。

自分の身に何かが起こった時の安心もありますが、何より、子供や孫と暮らしながら癒され希望を感じ、また彼らのために役に立てることが生きがいです。

今、日本という国も、結婚と家庭を重視する家族文化社会になるのか、それとも多様性・合理性追求の超個人主義社会になるのか…その分岐点に立たされています。

どちらが真の幸せの道なのか?…私は家族文化社会のほうだと確信します。

その理由は二つあります。一つは、数十年間、何千人もの方々の家庭問題と人生問題の相談を受けてきた結論として、人間の幸せには、祖父母、父母、子供、孫という家族の強い愛情関係が絶対に必要であると痛感したからです。

もう一つは、私自身の人生路程で、夫婦ふたり暮らしと、一人暮らしと、三世代同居暮らしを経験してみて、「三世代家族が一番素晴らしい」と実感したからです。

1300年も前の奈良時代に、「金、銀、宝石、そんなものが何になろう。子供に勝る宝がどこにあろうか!」と詠った山上憶良の言葉をかみしめながら、私たちもこの新年正月を機に、もう一度家族の関係を見直して、愛の絆を結び直しましょう!